宇宙デカトシヒコ !! SSP大活躍!
安物の代償---------------------
ある日、研修の時にお世話になったメカニックのシゲさんが、「v1」の追加装備を持ってやってきた。
「このv1はなぁ、宇宙のおまわりさんがスペックだけ見て大量生産したんだ。なにしろ20G以上の戦闘機動と、推力計測不能と、化け物地味な性能をしておる」
おれは、「v1」には、お世話になっている。
宇宙空間では、巡行する際に、直線番長として役に立った。
地上では、使えないが、リパルサーリフトと、ジェット推進で何とかごまかしていた。
しかし、戦闘機動に対しては、ダメだ。急加速、超高速から直角で軌道変更、急停止。
操縦桿にまったく遊びがない。こんな慣性を無視したような機動性を有した機体を誰が扱えるというのか。
この前も宇宙船の際に戦闘しようとした際に敵に突っ込んだ時には、ピンボールになっただけだった。
これを操縦できる奴は一部のスペシャルと呼ばれるような、こどものころから英才教育されたような人間だろう。
結局、一般兵には使いこなせずに、宇宙デカに、払い下げされたのだ。
宇宙デカは、「v1」にミノフスキードライブを搭載したが、結局ただの直線番長になった。
まぁ、おかげで宇宙デカとしては安く高性能機(?)を手に入れたのでよかったのか、よかったのか?
「余程、各宇宙デカの現場から苦情があったんだろうな、そこでミノフスキードライブを扱いやすくする追加装備が突貫で作成された。名付けて「ミノフスキードライブイージー」」
「そのまんますぎません?」
「まぁ突貫工事だったからな、そこら辺はしょうがない、これで良しと、換装が完了した。まずは乗ってみろ」
そう言われて、「v1」に乗り込み、宇宙ドッグ戦から「v1」を発進させる。
「こ、これは、なんて運転しやすいんだ。スロットルの遊びが大きい、そして機動性が明らかに低下して、常人が扱える領域に低下している。これなら俺でも操縦できる」
「これで、宇宙、地上共に戦力がアップするだろう。しかしあらたに大きな欠陥も出来上がってしまった、突貫工事だったからな、前部ユニットにその欠陥を少しだが解消する機能がある。マニュアルここにおいておるから、読んでおけよ、まぁ「v1」にも同じ文章のファイルを入れておいた、ちゃんと展開して読めよ」
「了解、シゲさん!!」
「なんかいやな予感があするなぁ...」
人間の尊厳を決めるルーレット-------------------------------
俺は自室の中心に、ブリーフで、猿轡をかまされていた。
ブートキャンプは、相手が引くほどいやいやばたばたアタックを決めたら何とか許してもらえた。
俺もチエちゃんのことは言えないな。
ブートキャンプの参加の決定権は、記憶を規定上消すことができないチエちゃんの
権限が大きく、宇宙デカは、下から出るしかないのである。
ブートキャンプは許してもらったものの、なるべく対象者の願いを聞き、口外しないようにお願いするしかないということになっている。
そして、目の前の机の上には、丸くて回転させてダーツを投げるタイプのルーレットがあった。
そこには、次のラインナップが記載されていた。
個人所有のHDDの中身を開示(所有数全部)
ブラウザのお気に入り、ブックマーク開示
Pix〇vアカウントの開示
部屋の家探し
.....
上から順に面積が大きい。
まさにダメージが大きいものが面積が大きくなっている理不尽なルーレットだ。
しかしこれは、どれも人間の尊厳に係るものだ。
このルーレットが、終わった後、俺はまさしく豚以下の存在として扱われるだろう。
その後は、再び引きこもりを再開し、ショックを受けた脳を回復するため、5、6年は医療カプセルで眠り続けるだろう。
そして、チエちゃんの邪悪な笑みと、エリの悪乗りの邪悪な笑顔が
こちらを向き、ルーレットをたて、まわし始めた。
射手はチエちゃんらしい。
俺は、涙と顔じゅうの汁をを振りまきながら、首を振り、むぐぅう、むぐっぅと叫び続けた。
人間の尊厳が、こんなことで決まっていいのか?もう、楽に殺してくれればいいのに。
しかし、二人の小悪魔は嬉しそうだった。
人の人生を懸けたルーレットを、ニヤニヤしながら見るなんて、本物の悪魔だ。
そして、運命のルーレットにダーツが刺さった。
俺は、白目をむいて気絶していた。
ダーツは、もんの少し小さなワレメには
「宇宙デカでも、地球の警察でも解決できない事件を捜査する、組織の発足、組織名は、SSP(Something Search People)」
というものが書かれていた。
ssp始動---------------------------------------------------
会議室(トシヒコの私室)
「ssp、つまりどんな組織なんだ?」
「要は、宇宙デカでも、地球の警察でも調査されていない事件、もしくは怪奇現象を調査するためのチームよ」
つまりは、少年探偵団ごっこあそび的なものだろうか?
「言っておくけど、おれの力は宇宙事件以外には制限されていてせいぜい常人の1.2倍ぐらいの力しか出せない。あとは、各種格闘術を使えるが、ブートキャンプで手にした免許はほぼ地球では使えない。ぶちゃけ車免許と、バイクの免許しか使えない。戦力としては、普通の大人だ。」
「大丈夫よ、そこは、わたしが現場での調査と捜査、あなたは、戦闘要員よ、エリさんは本部で情報収集、こういう体制で行きましょう」
こうして、sspは組織された。
もちろん、下から出るしかない、宇宙デカは容認した。
一応宇宙デカにも利点がないわけじゃない。
地球上の事件は、「v1」から分離した監視衛星で監視している。
それに抜け目が無いとは限らないのだ。
まぁ規模が小さい子供のごっこ遊びであろうと、そんなに気にしていなかった。
とくに何もない日々-------------------------------------
sspが発足されてから1ヵ月、何もなかった。
俺とチエちゃんは部屋でごろごろしていた。
「ひまだ..」
「ひまだわ....」
ふたりとも少し汗をかきアイスをぺろぺろ食べていた。
「ろにーさん、エアコンの温度下げて」
「いや、チエちゃんの方がリモコンに近いでしょ」
「動けないわ、命令よ」
のっそり立ち上がって、リモコンスイッチを押す。
「それにしてもひまね、正直もっと冒険の連続だと思っていたわ」
「宇宙デカの事件でさえ、年間でほとんど起きないんだよ、ましてや調査の手が届いてないものなんてそれこそ各地の伝承ぐらいだ」
チエちゃんは、小学5年生の夏休み中、こんなロリ確の部屋でごろごろしていては、青春を無駄にし過ぎている気がする。
「各地の伝承を、インターネットで調べてジヌニーでまわってみるか」
「ほんと!!、いきたいいきたい!!」
チエちゃんは目がらんらんと輝いていた。
どうやらお出かけがしたかったらしい。
夏休みだし、小旅行もいいか。
その晩、ある程度各地の伝承を調べ端末に入力し、ジヌニーと連動させる。
その他、ジヌニーにも何か感じたらフィードバックするように設定していた。
「ま..す..たぁーど、こか、におでかけ、d...すk?...」
「ん、なにか聞こえたような....気のせいか」
そして、トシヒコはガレージから部屋に戻った。次の日、各地の伝承巡りツアーがはじまった。
「いくぜ、チエちゃん、ここからは片道切符だぜ!!」
「おうよ、相棒、地獄の果てまで一緒だぜ!!」
チエちゃんは、アメリカンドッグと、フランクフルトを二刀流で食べながら、勢いよく答えた。
楽しそうで何よりだ。
あんな童貞のオタク部屋で過ごすよりはいいだろう。
「えーと、一つ目の伝承はっと、岩神町にある、岩神様。当時街に現れ、人を食べまくった巨大怪獣を大岩で、封印した巨大な神様がいたらしい。その神様を岩神様と呼び信仰しているそうだ」
「へー、まるで、明らかにフラグが立ってそうな伝承ね、でも街には温泉もあるのか、観光地としても楽しそうね」
チエちゃんは本来の活動より遊ぶ気満々のようだったが、正直俺も遊ぶ気満々だったので、その流れに乗った。
「「ぐらっ!」」
「うわ、地震だ!」
「最近多いわねぇ」
周りからフラグが聞こえてくる。
僕は、耳を塞いで、チエちゃんと温泉卓球を楽しんでいた。
その後は、なるべくチエちゃんの高まった元気を鎮めるために限界まで枕投げをして、体力を0になった瞬間を見極め布団にねかせ布団をかけ、枕にそっと頭を乗っける。
この間わずか0.1秒。
これは自分も、ゆっくり眠るために開発させた、子供の体力を0にして寝かせる伎だ。しかし常人にはまねできない。なぜなら子供の体力は果てしないからだ。
伝承の怪獣編---------------------------------------------------
翌日、伝承がかかれた資料がある博物館を訪れ何となく概要をつかんだが事前につかんでいた内容と、さして変わりがなかった。
しかしどうも岩神様と呼ばれる存在が、気になる。
あれは、めったに確認されない文明レベル7のアンノウンではないだろうか。
だとしたら、岩神様の封印が解けたとき、我々の文明、というか俺にはどうしようもないんじゃないかと、嫌な予感がする。
旅行二日目で、こんな危険な伝承に出くわすとは運がない気がする。
そして、最近の頻発する地震、少しずつ山が崩れているように見える。
山神様を祀る神社に行ってみたところ、誰もいず、なんか封印に大事そうな岩のオブジェの赤い縛り縄が切れていた。
これは嫌な予感的中かな。
さらに強い地震が起き、岩が崩れ怪獣の頭らしきものが出てきた。
「チエちゃん一回この場から避難だ」
「わ、わかったわ」
ジヌニーを呼び出す、山道と階段を上り、少し飛んだりしながら、きてくれた。
チエちゃんと俺は急いでジヌニーに乗り込み、その場をできるだけ離れる。
「ん、ナノスキンスーツの制限が解除された。これでこれは宇宙デカ案件になった。ジヌニー、チエちゃんを安全なところまで退避させるんだ。」
そういうとチエちゃんは、スマホ端末から僕にマークを見せる
「な、宇宙デカ特別隊員認定証、兼宇宙デカ見習い証!?」
目が点になった。
「装備の準備は、できてるぜ相棒!!」
正体がバレた宇宙デカはここまで下から出なければいけないのか?
「わかった、とりあえずメタルプレート装備、v1が到着するまで、ハンドガンでけん制しつつ逃げる」
「了解、わたしはとりあえずお祈りしながらジヌニーで待つわ!!」
「了解、ジヌニー発進、最適逃走ルートを逃げきれ、俺は射撃に専念する」
まぁハンドガンなんて効かないよね、けん制だし、とりあえず怪獣がこちらに来てくれればいい。
「あのう、これ、おいつかれるんじゃない!?ねぇこれおいつかれるんじゃない!?」
チエちゃんが珍しく焦っている。
「どうやら、来たようだ、「v1」、ジヌニーを緊急回収した後、上空に避難!!」
ジヌニーにが磁石が付いたワイヤで、引き上げられ、無理やり格納庫に押し入れられた。
チエちゃんが全身エアバッグで目を回していた。
試しにレールガンを怪獣に打ち込んでみた。
なんのダメージも与えられなかった。
よし、いったん基地に戻ろう。
2~3日の間に、周辺都市はひどいことになっていた。
地球防衛軍の攻撃は、まったく効かず、口からの炎によって建物、現代兵器は全滅していた。
すでに防衛軍の戦力は20%まで減っていた。
宇宙デカ地方駐在員の戦力は約兵力71000人分、艦船100隻分、航空機750機分、アメリカ第7艦隊を全て集めたものの1/10ぐらいの戦力になる。
あの怪獣はそれ以上に強いようだ。
救援が到着するまで、約3か月。その間にどれだけの被害が出るというのか。テレビでは、常に怪獣の予想移動範囲を予想した情報を開示し避難を促していた。
すでに現場は崩壊状態だった。
ここはもう行くしかない、ここにある宇宙デカ最強の戦力を。
「ダメだよ、ろにーちゃん、あんなの相手にしたら死んじゃうよ!!大きくて強すぎるよあんな怪獣!!」
「大丈夫、おれは、宇宙デカだから、負けない」
なんの根拠もないが、きっとチエちゃんの心はずきゅーんと来たはずさそのことと、命を比べれば、命なんて軽いものさ!
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