100万PV&100話記念SS
「柊さん、何であんなにガードが硬いのかな……」
グレイスビルの休憩室で、真山は愚痴っていた。
真山はPawsのメンバーであり、翔太のファンクラブの一人だ。
翔太にスキンシップを図ろうとしても、距離を取られてしまうことに不満を覚えていた。
真山は自分の魅力と男性が喜びそうな言動を熟知しており、彼女のアプローチに反応がない異性は翔太が初めてであった。
「男が好きなんじゃね?」
「ちょっと! 適当なこと言わないでよ!」
星野は自分の発言とは裏腹に、翔太は異性に対して反応をしないのではなく、理性で押さえつけているような印象を受けていた。
「年齢的な要素もあるのではないでしょうか?
特に未成年は恋愛対象から外しているフシがありますし」
白川はいつもどおりの澄まし顔で言った。
「しらーや、なんか知っとるんけ?」
「さぁ、どうでしょう」
「むむむ」
星野は唸った。
白川の性格上、知らないことは明確に『知らない』と言うはずだ。
にもかかわらず、ぼやかして表現していることから何らかの情報を握っていると思われる。
加えて、知らないふりをしていないことから、自分たちに対してマウントを取っているようにも感じた。
(相変わらず、食えんやつだな……)
***
「――などと、Pawsのメンバーは供述していますが、解説の橘さん?」
神代は彼女たちに聞こえない程度の音量で橘に尋ねた。
「未成年の女性と距離を置くのはいくつか理由があると考えられるわね」
「と、言いますと?」
「柊さん――石動さんが経験してきた未来では、未成年に対する法規制が厳しくなっている可能性があるわ」
「なるほど、ありそうですね」
「もう一つは、単に年齢が上のほうが好みの可能性も――」
「それは聞き捨てならないですね! 彼のストライクゾーンはどこからですか?」
神代としては以前から気にしているポイントである。
「一概に年齢のような絶対的な尺度とは限らないわよ。
特に彼にとっては戸籍上の年齢は体感している時間と合っていないわけだし、精神的に成熟していれば基準を満たしているかもしれな――ん、何よ?」
橘は神代に睨まれたことで珍しくたじろいだ。
(だって、それが本当なら一番近いのは……)
📄─────
本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。
おかげさまで本作は100万PVという大台を達成することができました。
そして、100話まで更新を継続できたのは、皆様からの温かい応援のおかげと心より感謝しております。
作品ではテンポを重視しているため、今回のようなよもやま話はできるだけ端折っていました。
今後も何かの節目で、SS(ショートストーリー)を挟みながらお届けしていくかもしれません。
今後とも本作をよろしくおねがいします。
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