第20話 女優 vs アイドル
「鈴音! 私を差し置いてなにやってんの!」
「いや、くまりー関係なくね?あたしとしょうたんの話だぞ。
あと、そのコール古いからな!」
「柊さんは私の仕事をしているのよ。
そういう話は私を通してからしてちょうだい、許可しないけど」
(どこから聞いてたんだろ……)
「でも、しょうたんはくまりーの部下ではなかろ?」
星野は翔太に促す。
「契約上は橘さんの管理下になります」
「ほれみいや、くまりーがしょうたんの行動に制限をかけるのはおかしいやろがい?」
「ぐぬぬ……」
「ただ、橘さんから、 神代さんの指示に従うように言われたらそうなりますね」
翔太は橘以外にも人がいる場合は、神代の本名を出さないようにしている。
「でも、今はそういう指示は受けてないよなー」
星野は推測で言っているが、実際にそのとおりだ。
ブログの活用方法からみても、彼女は勘がいいと思っている。
「契約上明記されていませんが、今回の私の仕事はオーディションを成功させることなので、これに関して神代さんが命じれば従います」
話がそれてきたが、掘り下げたくない話題だったので、敢えてそのままにして会話を続ける。
「ほらー、なので柊さんは私のものなのよ!」
「おまえ、とんでもねーことを言ってる自覚あるか?」
神代は「あっ」と言いながら、顔を赤くしている。
「でもさー、しょうたんが作ってるブログも仕事になったんじゃろ?さっき聞いたぞい」
星野は得意顔で続ける。
「ってことはだよ、稼ぎ頭である、あたしの言うことも尊重されるべきと思わんか?」
「私のブログだって人気あるわよ」
「でもあたしが1番だもんね」
「ぐぬぬ……」
「神代さんにはオーディション対策として、テクノロジーに関する投稿もしてもらってるんですよ。
これが受けるのは一部の層なので、仮に競争するなら、ハンデを抱えていると言えます」
それとなくフォローする。
星野はなかなかディベートが上手い。神代は地団駄を踏みそうな勢いだ。
ただ、企業のトップを演じる以上は、この程度で年下相手に言い負かされては困る。
翔太はがんばれという目で神代を見た。
神代の黒曜石のような瞳に輝きが戻ってきた気がする。
「ブログは私のオーディションのために用意したものなので、優先順位はこっちにあるの」
「そうかも知れんけど、オーディションには影響なければ問題なかろ?」
「何を話してるんですか?」
橘が休憩室にやってきた。
(た、助かったー……)
翔太はほっと胸を撫で下ろした。
📄─────
次回、神代の逆襲?
星野に対しての逆転の一手とは?
─────✍
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