ネクロ・マイン! ――助けた女の子が地雷系黒魔導士で僕はゾンビになってしまった!――

チモ吉

プロローグ 

「うさぎさんってズルいですよねー、寂しいと死んじゃうんですって。それがかわいいとか言われて、とてもズルいと思いませんか? それならアタシだって寂しいと死んじゃいますよー、かわいいですか? かわいいですよね? ね? ね?」


「あっ、そんなどうでもいいみたいな顔しないでくださいよっ、アタシが寂しくなって死んじゃってもいいんですかっ?」


「いやいや、いやいやいや。現実ですって、ここはちゃんと現世ですよ。夢の中でもあの世でもありません。勿論この後異世界に行ったりすることもありませんしアタシも女神なんかじゃありません。よく言われる誉め言葉ではありますけどね!」


「詳しいって、別にそうでもありませんよ? アタシ自身は全然興味ないですよそういう話。転生とか、死生観もあってバカバカしいなーとすら思ってます。ただまぁ、男の子から色々尽くしてもらうにはこっちもそれ相応の努力が必要って話だけ。自分が好きなものについて話して、それに相手が興味を持ってくれたり盛り上がったりって誰相手でも楽しいし嬉しいでしょ? つまりはまぁ、そういうことですね」


「それにしても、良かったですホントに! こうしてちゃんと会話できるってことは知性がしっかりと残ってるってコトですし、アタシの意図しない返答も出来てますから哲学的ゾンビという訳でもないみたいですし!」


「何の話って、イヤですねそう誤魔化さなくっても……えっ、ホントに忘れてる?」


「……………………ぷいっ」


「怒りますよ、そりゃあ怒りますよ! あの感動的で情熱的でともすれば喜劇的なアタシ達の出会いを忘れてしまったなんて嘘でも聞きたくなかったです! ホントの話ならなおのことですよ!」


「こんなにアタシはアナタが好きだというのにアタシのことも出会ってからも全部忘れちゃってるなんてあんまりですよ!」


「……そういえば、お聞きしても?」


「アナタのお名前ってなんていうんですか? どう呼んだらいいですか?」


「いや知りませんよ。聞いてませんし。そもそも今日が初対面じゃないですか。話すのだってこれが初めてですし」


「というか、アタシも名乗ってませんでしたね。まぁ名乗っていなかったというよりも名乗る暇がなかったという方が適切かもしれませんけど」


「なにせ生前のアナタとの接触は数秒に満たない時間しかありませんでしたから」


「何を言っているって、そのままの事実ですよ? 生前アナタと話したことはないですしお互い名前も知らない。まぁ愛の前には些細なことですよねこれから色々と知っていけばいい訳ですし!」


「よく分からないって。分からないなら胸に手を当てて考えてみてください。いや比喩表現でなく物理的に」


「……ね? 分かりましたか?」


「アナタの心臓はもう動いてないんですよ?」

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