リスキル勇者

気ままなかしわてん

第1話 異世界に飛ばされたんですけど!

俺は、斉藤蓮斗20歳

ただの引きこもりゲーマーだ。

高校卒業し就職したものの、ろくに勉強や努力もしたことが無いため長続きせず1年半ほどで辞めてしまった。

そうして今は実家の家でゲームをずっとやっている引きこもりニートとなってしまった。

俺は努力をあまりしない人間なのでゲームでもできる限り楽な道を進む。

何度も同じところを周回して強い武器を手に入れるような事はせず、簡単に手に入る中で強い武器を使ってフィールドの壁や障害物を使って敵を嵌める。

いわゆるハメ技だ。

俺のやっているゲームは意外と抜けているところが多いためこの様なことが簡単にできてしまう。

そんな事をやっていると眠くなってきたため、その場で寝てしまった。

そして、目覚めたら見知らぬ場所が広がっていた。

辺り一帯何も無い草原、スライムやイノシシのような獣がいた。

俺は異世界に来てしまったみたいだ。しかも、全く知らない場所に…

普通、ゲームやってたらゲームの世界に飛ばされるって聞いたことあるけど、なんでよくわからない場所に飛ばされるんだよ!

もしここが自分のやっていたゲームならば、「俺のやっているゲームの世界に転生した俺は最短距離で無双する!」見たいな俺TUEEEE展開を期待したのに…

しかし、そんな事を考えていても仕方ない。もしかしたら今ここにめっちゃ強い最強武器が置いてあるかもと思い自分の周りを見てもそんなものは無く、あったのは俺のゲームのコントローラーだけだった。「なんでコイツだけなんだよ!!」

思わず声を出してしまった。だってコントローラーだけあってどうしたら良いんだよ!

俺はこのコントローラーに怒りを込めながらボタンをがむしゃらに押した。

ガチャガチャやっているとコントローラーの電源がついた。

そうして何も無い目の前にスクリーンのような画面が映る。

そこには、俺のステータス画面が合った。


斎藤蓮斗 Lv1

HP100

MP100

攻撃力 1

防御力 1

魔法力 1

俊敏 1

運  1

職業 トラッパー


……クソ雑魚じゃねーか!!

何だよ!ステータス全部1って!こっちに勝手に呼ばれてこの有り様かよ、この俺が社会不適合者だからこの世界で死んでくれってか?

しかし、一つ引っかかるものがあった。

職業「トラッパー」

このトラッパーの能力が一体どんなものかわからない。ワンチャンコントローラーに何かあったりしないかな。

そう思ってボタンを押したら画面が切り替わった。

目の前の画面には、何も無い青い画面そして等間隔に線が入っている。おそらくこれは設計図のようなものだった。コントローラーを操作すると長いぼうや板だったり、穴の深さなど設定ができたりなどここでトラップを設計できるみたいだ。

これは、意外と使えるんじゃないのか…

俺の様な楽したい人間にピッタリの職業じゃないか。

今はレベルが低いため大したものは作れないが、将来的に考えると良い能力をしている。

自分の所持金はなんとか前の時にもらっていた小遣いが、合計で3万ほどが金貨に変えられていた。

これだけあれば問題はちょっとした集落には行けるだろうと思い、馬車を見つけるために道沿いを少し歩くことにした。しかし、ステータスがオール1の俺には少し歩くだけで疲れてしまった。

まだ10分も歩いてないのに……

やっぱりこれは早く馬車を見つけねばならない。

そう思っていると、馬車が通ってきた。

都合よく見つかったため、このまま馬車に乗り集落へと向かった。


一応言語は通じるようだったため、馬車に乗っている間運転手のおっちゃんからいろんなことを聞いた。この世界は今、魔族との戦争が勃発している最中らしい。北の国ミロクスと東の国エレンティアが魔王軍の配下との戦争状態にあるらしい。

んでここは西の国ロードルスの近くの平原。一応ここには魔王軍の奴らは来てはいないらしいが、魔王軍の傘下ではない奴らがところどころにいるらしい。そんな事を聞きながら俺はコントローラーの可能性を広げるために色々ボタンを手当たり次第おして、その能力を見ていた。そしてわかったことが結構あった。その能力が「鑑定」「アイテムボックス」「マッピング」「時間停止」

ざっとこんなところだった。

……やっぱこのコントローラー強くね?

「アイテムボックス」あるの地味に嬉しいし、「鑑定」あるのも尚良し。しかも一番驚いたのは「時間停止」だ。これは、自分を含めた周りの時間が止まる。いわば「考える時間はやるからその後は自分でどうにかしろよボタン」といった強そうだけどなんとも言えない効果をしている。

そんな事をしていたら西の国ロードルスについた。

まず、冒険者ギルドにでも行って金稼ぎをしていきたい。そのため俺はそのまま冒険者ギルドに足を運んだ。

そうして、冒険者ギルドの登録を行うことにした。

まずは名前や住んでた国、職業を書いたあと

「では、戦力を測るためこのオーブに手をかざしてください」

どうしよう…オール1がバレる…

しかし引き下がることのできない俺は、仕方なく手をかざした。

「はいはい、えーっと…オール1!!」

予想通りの反応だった。

周りも、「オール1だって、ザコじゃん」「弱すぎだろ…」「アイツ、やってけれるのか?」

罵倒や心配する声があったが、これでいい。

一応、冒険者ギルドの説明を受けたあと、Eランクの冒険者カードを渡され、俺はそのまま冒険者カードを受け取った後、依頼の掲示板を眺めた。

「これにしよう」そう言い選んだのは獣討伐ホープ狩りだった。ホープというのは角の生えたイノシシだ。それを手に取り受付の人に渡した。

「え、ホープ狩りですか…これは初心者には向いてないですよ。しかも、一人だと尚更…」

受付の人は案の定、心配した。

しかし俺は「いや、大丈夫です。それより、ホープの好物や習性について知っていたりします?」

「はい、一応ホープは肉食なため、相手を見ると突進して獲物を捕獲します。しかし、岩などに当たれば脳震盪で死んでしまいますが、走る速さが時速50キロを超えるため簡単には避けれません。ちなみにですが、小型の罠を使っても、大きさ的に嵌まらないと思いますよ。」

それらの言葉を聞いて安心した。

あとは肉を用意するだけだ。

そのまま俺は肉屋に向かい、肉をできるだけ買った。

ということで一旦宿屋で部屋を借り、罠を作成したあとホープの集落へと向かった。

罠の設置は簡単でコントローラーで作ったものをそのままボタンを押すだけで設置が完了する。

まるでゲームみたいだ。

しかも、ここの設計画面にある材料なら素材を用意する必要がないため餌の分だけ設置できる。

これ、俺TUEEEEよりコントローラーTUEEEE展開になってね?

そう思いながら設置した罠、それはただの上に餌を吊るした落とし穴だ。

しかし、落とし穴の深さがおよそ3メートルほどしか設定できなかった。そのため、ホープを落下で倒すのは難しいため、岩の側に設置することで岩に突撃した後に床の板が開くように設定することで効率よくホープを捕獲できる。

意外と簡易的な罠だが、レベルの低い俺にとってはなかなかの出来だと思う。

あとは待つだけだということで、少し距離を取ったところで罠の見張ることにした。


…一時間後…

思っていたよりも効率が良かった。

依頼の討伐量の倍近く倒すことが出来た。

しかしそれよりも、驚いたことがある。

それは、ホープがリスポーンしている点だ。

周りのホープが罠にかかったあと、10分ぐらい立ったら同じ数のホープが同じように罠にかかる。

おそらく、見えないところでリスポーンしているのだろう。

そして、待っているうちにレベルが上がった。

それによって、「トラッパー」のスキル「周囲探知」を獲得した。

これは、周囲の罠や敵、人の数が分かるスキルらしい。

あと、罠の道具や上限が上がったため、更に良いものが作れるだろう。

そろそろ終わろうと思い、一応罠を回収したあとギルドの方へと戻ることにした。

しかし、このコントローラーがバレてしまうのは困るということを思ってしまった。

アイテムボックスや罠の設置には欠かせない道具として、あまり周囲の人にはこれを知らせたくない。

服屋に行って、小さなバッグを買った。肩にかけれるタイプなので片手で操作すれば、そう簡単にはバレないだろう。

そんな寄り道をして、ギルドに戻った。

受付の人は短時間であの量のホープを狩ったため、想像以上に驚いていた。

そして、依頼の報酬とホープの買取分の金を貰い宿へと戻ることにした。

俺が宿へと戻ろうとした時

「おい、そこの新人!」

そんなことを言われて振り返ると

「お前、ステータスオール1のやつだな?可哀想に、そんなやつが一人で冒険するには危ないだろ?だから、せっかくだから俺のパーティに入れてやるよ!」

なんか、変なやつに絡まれた…

しかも、なんか妙に親近感がある。

そう思って思い出したのが前の会社にいた同期のことだった。

たしか、あいつが原因でやめたんだっけか…

2年前、俺との同期の永松行人

アイツは、俺が一人でいる時によく絡み「せっかくだからお前と友達になってやる。」と言われて無理友達のような関係にさせられた。

その後は、アイツの分の仕事を押し付けられたり

重要なデータを消されたり、俺のプレゼン資料を自分のものにしたりと散々な目にあった。

そんなことを思うと同じ未来が見えそうだった。

「ありがとう。気持ちだけ受け取っておきます。」

そうやんわりと断ることにした。

しかし、相手はそう簡単に引き下がるようなやつではなかった。

相手は舌打ちをしたあと「おい、俺からの誘いを断るって言うのか…」

なんか、嫌な予感がする。

「じゃあ、こうしよう。今から30秒間俺からの攻撃を一切受けなかったら、お前の事を見逃してやる。もし、このまま引き下がるのならそのバッグをいただく。」

「それって、俺にメリットなくない?」

「ああそうだ、ない!」

(それ、言っちゃっていいの?俺、仮にも勧誘されてる側なんですけど…なんでそんな強気で言えちゃうの?バカなの?コイツ)

仕方ない、どの道逃げても逃げ切れるような相手でもないし俺のコントローラーを奪われるのは死活問題だ。

「…わかった。その勝負受けて立つよ。」

「おお、大丈夫か?怪我しても知らないぞ?」

(ふっ、バカが ステータスオール1のやつがこの俺に勝てる訳が無い。このまま、いっちょわからせて今後のパシリとして使い倒してやる。)

「俺の名前は、ジル·ガイア 今後、仲間の名前として覚えt」

「長い」

そう言い俺は片手でコントローラーのボタンを押した。

その後、ガイアの足元の地面が無くなる。

「は?」

彼はそう言い放ち、脚で地面をけることもなく落下した。

「おい!これは卑怯だぞ!!もう一回正々堂々やり直せ!」

「こんなめちゃくちゃな勝負に正々堂々もあるかよ!」

元から俺に勝ち目などないような勝負と勝っても

何も得るものもない、クソみたいな勝負を正面から受けるやつがどこにいる。正味、コイツにひと泡吹かせてやるためにこの勝負に乗ったまである。

「次、タダで済むとは思うなよ。」

俺はそう言い残し、まだなんか言ってるガイアのそばをゆっくりと離れた。


次の日

俺は金稼ぎのためにギルドへと向かった。

俺がギルドへ入った瞬間、周りからの視線を感じた。

心当たりのない俺は受付の人から事情を聞いた。

「昨日、蓮斗さんがあの猛犬のガイアとの勝負に勝ったという情報が広まっていましてね…」

「あ~アイツか…」

確かに勝ったというのは間違ってはないがただ穴に落としただけだからな〜

スポーツマンシップから外れた卑怯なやり方というのは自負しているため、勝ったと言われても嬉しくはない。

「ですが、あの人たちのパーティはあまり評判が良くないですし度々、問題を起こすから正直お灸を据えてくれたことには正直感謝しています。」

「そうだぞ〜俺なんかこの前に新しく買った武器を奪われちまったしよ〜」

「俺もありったけのポーション取られたんだ!けど君のおかげてなんかスッキリしたよ」

前言撤回、悪事を犯したやつはどんな手であろうと問題無い。

そんなことがありながら、俺はこの異世界で新たな人生を楽しもうと思う。





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