足音(怪談青柳屋敷・足音 を読んで蘇った記憶)

 私が暮らす家は前面が道路に面し左右を用水路に挟まれ、後面は砂利が敷かれた庭から屋敷跡の空き地と田圃に囲まれた立地である。

 周囲に街灯は無く、日が暮れると周囲は闇に包まれる。

 

 一年に数回。丁度今頃の初夏から晩秋にかけての深夜零時過ぎになると、砂利を踏みしめて歩く音がする。

 用水路を越えた屋敷跡方向から向かってきた足音は、庭を進むと途中で消える。

 猫などの小型動物では鳴る事のない音の大きさ。

 それなりの広さがある庭は。歩数で大体の位置が推測できる。

 明らかに二足歩行の足音が、行って返って庭を抜ける事無く途中で消える。

 

 

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