弟の部屋
もう何年も前の休日の朝、起きてきた弟が「幽霊が出た!」と慌てた口調で言いました。
弟が言うには、「深夜、顔に何か触れた感触がして目が覚めたんだ。手で払うと長い何かで、目を開けて見たら。白装束を着た紙の長い女が枕元に正座していて、自分の顔を覗き込んでいたんだ」と。
家族は皆、「そんなばかな」と信じませんでした。長年暮らしてきましたし、両親は過去に何年も二階で就寝していましたが、誰も見た事は有りません。
外出した弟は線香と大きな茶碗を四つに大量の塩を買い込んできて、自室で線香を焚き、塩を盛った茶碗を二階の数カ所に置きました)
(私の部屋にも置こうとしたので、「それは勘弁してくれ!」と断りました)
数か月間盛り塩と線香を焚き続けた結果、怪しい気配は消えたそうです。
さて、弟の部屋と私の部屋は襖で仕切られただけで、隣り合っています。
朝に目覚めると、閉ざした襖の向こうから寝息が聞こえてきて、「あ、まだ寝ているんだな」と思い、そっと一階に下りて母親に確認すると、「弟は出勤したよ」と言われることが、何回も有りました。
弟が不在の日中に襖の向こうから吐息や寝息が聞こえてくることが、今も時々有ります。
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