私は君が、好きだから。

みずき

第1話

「おはよー」

教室に入ってそう言うと、いつものように返事が返ってくる。そうすると、僕はすっごく安心して、今日も普通だな、とかそういうカッコつけたことを思う。

僕の名前は水木心乃。蒼葉学園中等部一年三組。皆にはみずきって呼ばれてる。何で下の名前で呼ばないのかと言うと、誰も読めないし、それに僕の下の名前は僕にとっての黒歴史だからだ。だから、男子も女子も、僕のことをみずきって呼んで、下の名前もみずきって思われてたりする。つまり、みんなの間では、僕は水木瑞希で通っているというわけ。

「おはよー」

本日二回目のおはよーを言う。僕は三組だけど、しょっちゅう六組に遊びに行くから、毎日二回は、おはよーを言う。六組はとにかくテンションが高い。三組も元気だけど、六組の方が明るくて楽しいと、個人的には思っている。六組の教室に入って実歌やなずなたちと話していると、バン!と、キャップが自分にぶつかってきた。そっちを見ると、佐納とゆうとがキャップ野球をしていた。ぶつかって落ちたキャップを拾って、ゆうと目がけて力いっぱい投げつける。そして、ゆうとはそれをしっかりキャッチして、佐納に向かって、投げ、続きを始める。そんなふざけた光景だけど、僕はほっとする。こういう光景の方がアットホームみたいで、好きだ。六組の先生がそこで入ってきて、時間を見ると、そろそろホームルームが始まる。僕は急いで六組を出て、三組に戻る。教室に入ったのとホームルームが始まったのが同時だった。ギリギリセーフ、今日も普通の一日が始まると思いながら、大きな伸びをした。

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私は君が、好きだから。 みずき @mizukipiano

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