寝すぎたオッサン、無双する〜親友カップルをかばって昏睡から20年、目覚めたら俺のハズレスキル〈睡眠〉が万能究極化してて最強でした。超人気配信冒険者の親友の娘姉妹が、おじサマと慕って離してくれません〜
寝すぎ55 ふたたびの親友たちとの別れ。……家族公認? とネルトと娘姉妹の新たな誓い。
寝すぎ55 ふたたびの親友たちとの別れ。……家族公認? とネルトと娘姉妹の新たな誓い。
コゥン、コゥン……!
「はぁぁっ!」
――一閃。
気合いとともに天高く、ハワードが右手の漆黒の刃を突き上げる。
パ、キィィィィィィィンッ……!
剣先から放たれた黒き刺閃は、タワーマンション屋上を覆う強固な障壁の、その天井部分の一部にたやすく風穴を開けた。
ジャラララララッ……!
上空に浮遊する、冒険者協会幹部であるハワードの運用する最新鋭の小型高速魔導飛空艇〈ネオフロンティア〉号。
その底部から、開けた風穴を通して一本の太い鎖が降りてくる。
「フィーリア!」
「はい! ハワード!」
剣を
それからいつかのように、遅れて跳びついてきた妻フィーリアをもう片手でしっかりと抱きとめた。
「パフ! スピー! そして、ネルト! ほんの短い時間の帰宅となってすまない! 楽しかった! ありがとう! それに、僕は心から確信できた! 君たち3人がいっしょにいてくれるかぎり、何も心配はないって!」
「パフ。スピー。暫定とはいえ、もう学生ではない以上、あなたたちはもう立派な大人です。家族として、ネルトさんをしっかりと支えてあげてくださいね」
「ま、ママ……! う、うんっ!」
「ん。もちろん。フィーまま」
耳もとまで真っ赤にして答える姉パフィールと、さも当然のようにこっくりとうなずく妹スピーリア。
その対照的な娘二人の答えににっこりと微笑むと、そのすぐ近くにたたずむネルトに向かってフィーリアはハワードに抱えられたまま、深々と頭を下げる。
「ネルトさんも、まだまだ至らないところのある娘たちですが、どうぞよろしくお願いします」
「お、おう……!」
――なんか話が妙な方向にいってる気がするなぁ……? と薄っすらと思いながらも、ネルトは力強く返事をする。
「ふふ。20年前みたいに他の女の子に目移りばかりしては、だめですよ?」
「って、おいっ!? ふぃ、フィーリアっ!?」
「……オジサマ?」
「ネルおじ……」
バシャバシャと、今度はそっくりな態度と表情でネルトにつめよる娘たちを見てくすくすと微笑むと、腕の中、フィーリアはハワードに向かってうなずく。
それに対してうなずき返すと、ハワードはふたたび地上に向けて叫んだ。
「また休みをとって帰るから! 愛してる! パフ! スピー! ネルト! 二人を頼む! そして!」
そこで一度言葉を切ると、まっすぐに
「僕たちは――待っている!」
――その短い言葉の中にこめられた意味をいまのネルトと娘姉妹は知っている。そして、胸の中にその意味と想いを刻みつけてから。
「おう!」「うん!」「ん!」
三者三様の言葉を返し、グッ……! と3人まったく同時に、右親指を――
「「「必ず!!!」」」
――天と、大切な人たちに向かって揺るぎない誓いを立てた。
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