憎しみのフローリア

@k0905f0905

第1話

「フローリア、お茶をいれておくれ」

脚の悪いアンダルシアが花売りを終えて

帰ってきた娘のフローリアに

車いすから呼びかけた。

「ハイ、少し待ってください。着替えを

済ませます」

フローリアは着替えを手早く済ませると

台所にいき、お湯をわかした。

「もう少し待ってくださいね。いま

お湯をわかしていますから」

フローリアはお湯が沸いたことを

確めると、急須に茶っぱをいれ

お湯を注ぎこみ、茶碗にそれを

注いだ。

「ハイ、おじいさん。お茶」

「すまんなワシがこんな体だから。ゴホン、ゴホン」

アンダルシアが口から血を吐いた。

アンダルシアは医者から余命三か月

だと告げられていた。

「ありがとう。フローリア、マノンが憎いか?」

「えっ、そりゃあ。でもどうすることもできないわ」

「異世界革命軍の闘士マノンはオマエの父、スカーレット

母、フリーランスを惨殺した。オマエにはもう

恋人のカインとワシしか残されておらん。ゴホン、

ゴホン」

「おじいさん、しっかりして」

「おまけにカインは異世界でマノンにより

獄中生活を余儀なくされている。ワシはオマエが

不憫でならん」

「おじいさん」

フローレンスがアンダルシアの背中を擦った。

「ワシの心残りはおまえだけだ、フローレンス」

「おじいさん、しっかりして」



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