第16話 幼馴染の落着きと葛藤
「あれ? どうしたの
無い体力を振り絞り、フラフラと坂道をどうにか登っている中途。
───過酷な部活で
せっかくの真新しい自転車も、僕のようなヘタレが乗車では全く
僕にとっては新しい事始めなのだ。せっかくだから気分を新たにと思った。所詮、大型量販店の格安物に過ぎないけれど。
それにバイクの免許が取得出来たとしても、いきなり購入出来るとは到底思えないから、
「ハァハァ…ハァハァ………」
僕の普段の行動範囲には、坂道なんて
ようやく登り切った所で、僕の脚がいう事を効かなくなる。あ、汗がヤバい………。情けないけど、気が遠くなりそうだ。
「はい、コレ飲みなよ。
「あ、ありがと………」
坂の上でわざわざ待っててくれた弘美が、スポドリが入ってるらしいボトルを気軽に差し出す。
───い、生き返る………。HP0寸前だった僕の身体に染み渡る
「あ、あ、ち、違う………た、ただ
「………? 判ってるよ、そんなこと」
僕の顔が朱色に染まり切っている理由は、急な登り坂を無理して上がり、血流量が増しているからではない。
弘美の頭に浮いている疑問符。僕の慌てふためきぶりの意味を、まるで判っていない口振りであった。
───
「こ、コレ、コレ………」
今しがた口にしたばかりの物を僕が
「アハハッ! おっかしいっ!
自分の
「あーっ、えぇ………そうでござんしょうよ………。高校生の男子がそんなことを
これは他の誰でもない僕自身の
「………れ、
登り坂の駆け上がりでも、間接キスですら、まるで響きやしない弘美の目の下に、自然の
「………そ、それはそれとして、どうして疾斗が自転車なんかでこんな
自ら話を
───そ、それは間接キスより触れて欲しくない話題だ。弘美からの場合だと実に
「そ、それはだあな………う、運動不足っ! そうっ、運動不足解消のためさ。流石に家に閉じ
「どうせ
最後まで告げようとした矢先に
少しだけ
「………大丈夫。私その程度で
ふぅと軽い深呼吸をしてから笑顔へ返り、僕に視線を合わせてそう答えた。落着き払って
───何だろうこの笑顔………。今の弘美になら正直に接するべきではあるまいか。………勝手な思い込みかも知れないけど。
「………う、うん。実はそうなんだ。僕、まだバイクに乗れるか判らないけど、免許だけでも取るかもって
『
───だけど、それはそれで
後は颯希の
僕の言葉にしっかりと耳を傾け、逐一
「なるほどねぇ………。いや、
しみじみと言われてしまった………。
「疾斗がやりたいことに口出しするつもりはないし、良いアドバイスをしてくれた
僕の話は全肯定してくれた弘美。けれど違う話題を切り出そうとした
「な、何だ。どうした? 帰りの時間だったら、特に気にしなくて良いよ」
「あ、ありがとう………じゃ、じゃあ話すね」
弘美の話したかった内容………。それはあのテニス大会の直後、彼女が自宅へ帰る時のことであった。
そして僕の堂々と応援をした
───せっかく勇気を持ってテニスに向き合おうと決め、
「ちょい待ちっ! あれは
火の国の第6皇子………フィアマンダ・パルメギアの
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