第4話 楽し気に笑う風の精霊術師
僕、
そ、それにしても速いっ! そして正直怖いっ! 駄目だ……最早声も出ないし、今の気持ちを表現出来る
そりゃあ普通の自転車なんかじゃ比べ物にならないだろうって予想はしてたけど、此奴はその辺りの世界軸とは異なるんじゃないか!?
───原付2種? 知らん、そもそも本当にコレは原動機付
それにしても女子の腰回りを後ろから抱き締めるなんて、小説か漫画・アニメでの経験だと決めつけていた。でも遠慮してる余裕なんて
あとこの状況下で……その、
───考え……ちゃってるな、コレ、うんっ………。いやいや、僕だって健全な第二次
抱き締めてる目前の……その、何だ……柔らかくそれでいて…こう……。
「ウワァァッ!? お、落ちるぅッ!! 倒れるぅッ!!」
「アハハハハッ!!」
急な左カーブ、少し
───
何とか前のハンドルに付属したミラーを
要は余裕
「聴こえるっ!? 怖がって縮み上がるのも判るけど固くなっちゃ駄目よっ!! コーナーの向きに貴方も重心を載せないと、逆に怖い思いをするよッ!!」
排気音と……これが
───コーナーの向きに何だってぇぇ!? ………駄目だ。もぅ、僕の脳は、
こうなりゃもう、やけっぱち。どうせ途中下車の出来ない旅路だ。
僕は御無礼にも
「………っ!?」
今の締め付けで
するとどうだ、実にスルリとDU◇Eが
───あ、あれっ? ようやく少しは目が慣れてきた?
学校を飛び出して15分位は経過しただろうか。右側は対向車とその向こうに映るのは
左側には土手がそそり立っているのだが、たまに切れ目からとても雄大なる河川が流れているのが見受けられる。この土手は堤防らしい。
「あっ! 少しは慣れてきたみたいねっ! のんびりペースだから、あと20分って処かなっ?」
───
少し頑張ってハンドルの中央に陣取るデジタルのメーターを
コーナーが近づくと、6、5、4、3と小気味良く下がってゆくのがドライブシュミレータゲームでも見るギヤだろうか。
同時に右手、左手を器用に動かしつつ、ハンドルと同時で柔らかに腰を揺すってコーナーをクルリと曲がる。
ひょっとして僕は、
一つでも操作を誤れば上手く曲がれないという
───あっ……この笑顔。やっぱり彼女は、
Wind・Geistar………ドイツ語で風の精霊を示す言葉、加えて僕が書いてるWeb小説のヒロイン『フィルニア・ウィニゲスタ』の二つ名でもある。
いつでも僕の心には、フィルニアの
現世を
───僕の
交差点、進行方向の信号は赤。チカッと左折を示すウインカーを点灯させながら停車する。久しぶりの停止に僕は慌てて左脚を地面に投げ出しどうにか支えた。
信号が青へと転じ、DU◇Eが
何処まで連れて来られるのかと思いきや、何と自分の住む地域とお別れする場所まで来てしまったのだと、今さらだけど知ることになった。
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