2期

ある神が一人の人間に恋をした。その人間は別の女と結婚した。二人は結ばれなかった。しかし、神は諦めず、人間の子供を誘拐し、自分の子供として育てた。その子供が成長した時、その神は子供を嫁にした。

「あなたを愛している」

「私もだよ。愛しているよ」

そして、二人は結ばれた。

しかし、彼女の寿命は長くても100年。彼女が死んだ後、神は風の精から聞いた話を思い出す。それは、自分が彼女を生き返らせた事を後悔した事だった。彼は彼女と一緒にいる事に幸せを感じていたが、彼女はどうなのか? 自分は彼女に無理矢理生きているのか? 神は悩み始めた。

「私はあなたの事が大好きです」

「ありがとうございます。僕も君が好きです」

そして、二人は結婚した。

しかし、神の寿命は長い。彼女が死んでしまった後、彼は悲しさに包まれた。

何かストレスで暴飲暴食を繰り返してしまった。

ケーキ、フライドチキン、ステーキなどを貪り喰い、酒をガブ飲みした。

しかし、彼の体は不死身。いくら食べても太らない体質だ。

それでも、彼を苦しめたのは心の方だった。

それはテーブルの散乱具合で分かるだろう。

それでは飽き足らず、彼は○○を食べてしまう。

「美味しい。何度食べても飽きない味ですね」

もう止まらなかった。

○○を食べる事は悪い事では無い。そう思っていた。

ある時、何時ものように食べる日々を送ると、謎の男が興味津々な様子で話しかけてきた。

「君はどうしてそんなに人を食べたいんだい?」

神は答えられなかった。ただ、黙って立ち尽くしていただけだった。

男は言う。

「教えてくれないか?」

神は答えた。

「分かりません」

すると、男は僕の肩に手を置き言った。

「じゃあ、私が手伝ってあげようか?」

男は楽しそうな笑顔で言う。それが彼の人生を変えるとは知らずに……。




「おーい、大尉。何読んでんだよ」

俺は少し驚いた。何故なら、俺の部下が後ろから突然声をかけてきたからだ。

「あ、ああ、これかい?これはね、あの有名な作家さんの作品なんだよ」

俺がそう言うと、部下は言う。

「ふーん、でも、こんな文字ばっかの小説読むなんて、お前、変わってるなぁ~」

そう言いつつ、俺の持っている本を覗き見してきた。

「うぇ~、やっぱ読めないや。この字とか、何て書いてあんの?」

「いや、だからぁ、これは……」

「――これは、神書って言って、神様しか読め無いのよ」

そう言ってきたのは、元対奇怪隊。山本洋二三等兵である。

「え!?マジで!?」

驚くのも無理はない。俺だって最初はそうだったのだから。

「そうだよ。だって、この本には、僕とは違う存在が描かれているんだから」

「へー、どんな奴なんだ?」

「簡単に言うと、人間とは少し違う生き物かな?」

「なるほど、つまり宇宙人って事だな!」

「まぁ、そんな感じかしらねぇ」

「そうか!なら、俺達にも読めるようにしてくれよな!!」

「うーん、どうしようかなぁ」

その時、扉が開き、まいが両手で持った袋を重そうにして入ってきた。

「ただいまーって、皆居たのかぁ」


まいはそう言いながら、テーブルの上に袋を置いた。

「おかえり、どうしたの?その荷物」

僕が聞くと、まいは言った。

「ちょっとねー、買い物してたら色々あってさー」

僕は不思議に思い、聞いてみる事にした。

「何があったの?」

「えっとね、まず、お店に入ったら、店員に『いらっしゃいませ』って言われたんだけど、その後すぐに『今日はどのようなご用件でしょうか?』って言われてさぁ、私ビックリしちゃって思わず逃げちゃったんだよねー」

「……それで?」

「その後は普通に買い物したけど、なんか変な目で見られてたんだよねー」

「……他には何かある?」

「後は、家に帰る途中にある公園で遊んでた子供達が居たから、一緒に遊ぼうと思って近付いたら、いきなり怯えられて逃げて行っちゃったんだよぉ。なんでだろぉ?」

「そ、そうなんだぁ……」

「うん……ぐすん……」

まいはとても悲しそうな表情だった。そんな時、ある人物が口を開く。

「……それは多分……お前が怖い見た目してるからじゃない……?」

そう言ったのは、リーザだ。

「黙って、ポンコツ男」

しかし、それを言い返したのは、まいだった。

「はぁ?誰がポンコツって?」

二人は睨み合い、火花が飛び散っているように見えた。

そして、二人の喧嘩が始まったのだ。

「あんたに決まってるでしょ!いつも何時も私の邪魔ばっかりしてきて!」

「何言ってるんだ!俺は別に足手まといのような行動はしてないぞ!」

二人が言い合いをしている中、他の者達は黙って見ていた。

いや、正確には見ているしかなかったと言う方が正しいだろう。何故なら、二人の間に入り込めるような雰囲気ではなかったからだ。

「おいお前ら、いい加減にしろ」

俺は二人を注意し、落ち着かせるため、一旦休憩にした。


――数十分後―――

ようやく落ち着きを取り戻したので、話を再開させることにした。

「えーっと、どこまで話したっけ?」

すると、まいが答える。

「確か、公園の子供達に怖がられた所までかな?」

それを聞いて思い出した。そうだ、そうだった。

「よし、それじゃあ続きを始めようか」

そうして、俺達は話し合いを続けたのだった。


――数時間後――

話し合いが終わり、皆ご飯の時間に最後に言っておこうと思う事がある。

「実はね、今日皆に集まってもらった理由はね、僕がある提案をする為だったんだ」

すると、全員が俺に注目してきた。俺はそれを確認してから言った。「最近、皆の体力が落ちてきていると思うんだ」

そう言うと、一人が言った。

「確かにそうだな。ここ最近、任務をこなしても全然疲れが取れないしなぁ」

俺はそれに続けるように言う。

「そうだろう?そこでね、新しい部隊を作らないか?って思ったんだよ」

そう言うと、また一人の男性が言う。

「どんな部隊にするんですか?」

俺は答える。

「君達一人一人の長所を活かして活躍できる部隊を作ろうと思っているよ」

すると、今度は女性が言う。

「例えばどんなのですか?」

「そうだね……例えば……情報収集に特化したチームとか、暗殺に特化したチームとかかな?」

俺がそう言うと、リーザが元気に手を挙げて言った。

「大尉!! 質問です!!」

「はい、どうぞ」

「どうして情報収集なんですか? 俺は戦闘特化ですよ?」

俺は少し考えてから言う。

「んー、それはね、僕達は今までバラバラな行動をしていたからね、もし、同じ目的を持った仲間が居たら、もっと効率よく戦えると思ったんだよ」

そう言うと、彼女は納得した様子で頷いた。

「なるほど!そう言う事ですか!」

次に発言したのは、洋二だった。

「では大尉殿!具体的にどんな風にメンバーを決めるのか教えて下さい!」

「分かったよ」

そして、俺は説明を始めた。

まず、最初に決めるのは、情報収集チームの事だ。このチームは、主に情報を集める事を目的としたチームで、メンバーは3人程欲しいと考えている。次に暗殺チームだが、このチームには主に暗殺やスパイ活動などをしてもらうつもりだ。何故このチームを作ったかと言うと、人数は少ないものの、かなり強いメンバーが揃っているからである。最後に情報解析班だ。このチームは、様々な情報を解析したり、調査したりする事が主な仕事になる予定だ。以上を踏まえて考えた結果、以下の5人を選抜する事に決めた。

1人目は山本洋二三2人目はリーザ 3人目は阿国 4人目はまいである。

以上の4人だ。この中から1番良いと思える者を選出して欲しい。ちなみに、全員の意見を聞くつもりはないので悪しからず。

(本当は意見を聞いてやりたいんだが、時間がないからな……)

俺がそう考えていると、洋二が話しかけてきた。

「では、僕がリーダーを務めます!」

俺は驚いた。まさか自分から立候補してくるとは思わなかったからだ。しかし、彼が自ら志願してくれたのなら断る理由は無いと思い、承諾した。

「よし!じゃあ君に任せるよ!!」

洋二は笑顔で言った。

「はい!!頑張ります!!」

彼はやる気満々だった。

「うん。よろしくね」

俺も微笑みながら返した。そして、彼は早速準備に取り掛かったようだ。それを見ていた俺は、逞しい姿だなと思った。

「ねぇ、本当に良かったの?」

彼女が何を言いたいのか分かっていた俺はこう答えた。

「何がだい?」

すると、彼女は少しムッとした表情で言ってきた。

「もう分かってるんでしょ?私が聞きたいのは、何であんな奴を選んだかって言うことだよ」

俺は少し考え込み、彼女の問いに答える。

「確かに彼の事はよく分からないけど、彼には彼なりの考えがあるんじゃないかな?だから、彼に任せようと思ったんだ」

そう言うと、彼女は呆れた顔で俺に言う。

「やっぱり、あんたはお人好しだね……」

そんな話をしている間に、どうやら準備が整ったらしい。俺は彼に声をかけた。

「おーい、そっちの準備は終わったかい?」

すると、元気な声で返事が返ってきた。

「終わりましたよー!!いつでも出発できます!!」

彼の声を聞いた俺は、全員に号令をかける。

「それじゃあ、出発するぞ!!」

こうして、俺達の最初の任務が始まったのである。

俺達は今、ある人物達を探している最中である。その人物とは、とある奇怪の神である。その名は『ハルピュイア』というらしく、別名『ハーピー』とも呼ばれているらしい。何でも、上半身は人間で下半身は鳥の姿をしているらしいのだが、詳しい事は分かっていないらしい。そんな時、まいが口を開いた。

「ねえ、一つ思ったんだけどさ、私達だけで探すより皆で探した方が早く見つかるんじゃない?」

それを聞いたリーザも続くようにこう言った。「私もそう思うわ」

それを聞いていた洋二も頷きながら言う。

「僕も賛成です」

それを見ていた俺と洋二も賛同し、全員で探す事にしたのだ。それからしばらく歩いていると、ふと疑問に思った事があった。それは、なぜ彼女達はこんなにも速く移動出来るのだろうか?という事だ。俺の知っている限りだと、彼女の能力を使えばもっと早く移動する事が出来るはずなのだが……いや、今はそんな事を考えている場合ではないな。そう思い直し、再び歩き始めるのだった。

あれから何時間歩いただろうか……。一向に見つからない事に苛立ちを覚えた。

「見つからないな」

「当たり前ですよ。だって、相手は神ですよ?そう簡単に見付かる訳が無いじゃないですか」

洋二の言う通りなのだが、それでも納得がいかなかった。なので、俺は彼に聞いてみる事にした。

「なあ、お前はどうやって相手の居場所を突き止めたんだ?」

すると、彼は自慢げに答えてくれた。

「僕の能力はですね、相手の気配を探ることが出来るんですよ」

それを聞いて納得した。それなら相手が何処に居るのか分かるはずだからな。そう思っていると、そこには、一人の女性が座っていた。その女性はこちらに気付くと立ち上がり、声をかけてきた。

「あれ? ゼアを討伐した弱々チームじゃん。どうしたの?」

俺は驚きながらも冷静に答える。

「実は、君に頼みたい事があるんだ」

そう言うと、彼女はそっぽ向き、返答をする。

「嫌だね。私は忙しいんだよ」

しかし、ここで引き下がる訳にはいかないので、何とか説得しようと試みた。

「頼むよ。君の力が必要なんだ」

すると、彼女はこちらを振り向き、言った。

「ふーん、そこまで言うなら仕方ないなぁ……でも、条件があるんだけどいい?」

俺は頷く。それを見た彼女は続けて言う。

「私のお願いを一つ聞いて欲しいの」

「なんだ?」

どんな条件なのか予想つかないな。彼女は考える素振りをしてからマネーサインの手振りしながら答える。

「まずは使用料を100万ほど用意すること」

やはり金か……まあ、妥当だろうなと思いながら俺は了承することにした。

「分かった。払おうじゃないか」

すると、彼女は嬉しそうにした後、携帯を取り出し、電話を掛け始めた。おそらく、誰かに連絡しているのだろう。しばらくしてから電話を切った後、こちらに伝えてきた。

「ごめんな、今から彼氏とデートに行かないといけなくなったからさ、話はまた今度でいい?」

そう言って走り去ってしまった。俺は唖然としていたが、すぐに我に戻り、皆に指示を出す。

「とりあえず、今日は解散しよう」

そうして、俺達は解散したのだった。


――翌日――

昨日の出来事について考えていた。まさかミオケル、戦いたくないから俺の要求から逃げたんじゃ無いよな? だとしたら、相当やばい奴だな。そう思いながら、俺は朝食を食べる為に食堂へ向かった。そして、席に座り、料理を待っていると、後ろから声をかけられた。振り向くと、そこには、まいが立っていた。

「おはよう!昨日は大丈夫だった?」

心配そうに聞いてくる彼女に、俺は笑いながら答える。

「ああ、大丈夫だよ」

すると、彼女は安心した様子で言った。

「そっかぁ、なら良かったよ!」

その後、二人で談笑していると、リーザと洋二がやって来た。

「大尉!! おはようございます!!」

「おはようございます!!」

二人は元気良く挨拶してきたので、少し驚きつつも、俺も挨拶をすることにした。

「二人ともおはよう」

すると、二人が不思議そうに聞いてきた。

「あれ?大尉殿、なんか雰囲気変わりました?」

「確かに、いつもより優しい感じがしますね」

そう言われたので、俺は素直に答えた。

「そうかい?自分では分からないけど、もしかしたら、昨日の事で気が楽になったのかもしれないね」

そう言うと、彼女達は少し驚いた様子だったが、すぐに笑顔になり、こう言った。

「そうですか!それは良かったです!」

「そうですね!これからも頑張っていきましょう!」

二人の反応を見て、俺は嬉しくなった。それと同時に、こんな部下を持って幸せだと思った。そして、改めて決意を固めるのだった。



――妖魔界九桜線。

妖魔界の鉄道の中でも乗り換え無しで行ける路線であり、とても便利な路線である為利用者も多いのだそうだ。そんな電車に揺られながら目的地へ向かう。場所はここから約3駅先にある山奥である。そこに今回のターゲットが居るらしいのだが、果たして上手くいくのだろうか? 不安を抱えつつ電車に乗っていると、あっという間に目的の場所へ着いたようだ。そこは、自然に囲まれた綺麗な景色が見える場所で、近くには小さな湖もあるようだった。そこからさらに歩くこと数分、ようやくお目当ての場所に到着したみたいだ。その場所には大きな屋敷があり、いかにもな雰囲気を漂わせていた。屋敷の前には門番らしき人物が立っており、こちらを確認すると話しかけてきた。

「すみません、ここは立ち入り禁止となっておりますので、どうかお帰り下さいませ」俺は少し考えてから返事をする。

「分かりました。それでは失礼しますね」俺がそう言うと、聞き覚えがある声がし、振り向くと対奇怪隊の頃、親友でもあった大山信少佐が居た。彼はこちらを見て驚いていたが、やがて落ち着きを取り戻して話しかけて来た。

「お前、もしかして北条か?」

「お久しぶりです、信少佐」

俺は信に対し、敬礼をする。信は何も躊躇いもなく、家に上がらせてくれた。久しぶりに会った友人との会話はとても楽しいものだった。だが、いつまでもこうしているわけにはいかないので、本題に入る事にした。

「ところで、ハルピュイアって聞いたことあるか?」

それを聞いた瞬間、彼の顔は青ざめていった。まるで何かに怯えているかのように見えた。そんな彼の様子を見た俺は心配になって声をかける。

しかし、彼が発した言葉は意外なものであった。

「闘ったことあるぞ……」

その言葉を聞いた時、一瞬耳を疑った。

「え? 闘ったことある?」

「あぁ、あれは確か2000年前だったか……」そう言いながら当時の事を語り出した。

「2000年前――まだ妖魔界が文明発展してない頃の話だ。あの頃、我々の部隊は怠惰な生活を送っていたんだ……そんなある日の事だった……いつものように寝ていたら突然部下が報告に来て、こう言われたんだ。〈奇怪の大軍が押し寄せて来た〉って。

これが後の戦争、【ナリオの大戦争】の始まりだ」

彼は淡々と話を続ける。

「急いで準備をして向かったんだが既に手遅れで、報告の発表で生存者より死者の方が多いと言われた程だったんだ……そこで我々は考えた結果、奇怪を囲むように陣取り迎え撃つ事にしたんだ。それから数時間経った頃に奴らが来たんだよ……最初は優勢だったが徐々に押され始めて最終的には全滅してしまった……」彼の話を聞いている内に、ある疑問が浮かんだので聞いてみた。

「あのー質問なんですけど、2000年前に生きていた人達は今どうしてるんですか?」

すると、彼の表情は暗くなりながら答えてくれた。「……全員死んだよ」彼の言葉を聞き、思わず黙り込んでしまった俺に構わず、更に続ける。「我々も必死に戦ったさ、それこそ死に物狂いでね……しかし結果は惨敗……生き残ったのは私と数名の部下だけだったんだ……」俺は何も言えずにいると、彼から提案をされた。

「なあ、もし良ければ一緒に戦わないか?戦力は多い方がいいだろう?」正直言ってかなり迷ったが、このまま何もしないよりはマシだと思い承諾したのだった。

しかし、それよりもハルピュイアの事が気になった俺は、彼に質問をしてみることにした。

「そういえば、ハルピュイアはまだ生きてんのか?」すると、彼にしては珍しく苛立つ口調で、答えてくれた。

「当たり前だ。むしろハルピュイアの存在で我々が負けたと言っても過言ではないからな」その言葉に驚きを隠せなかった俺は詳しく聞くことにした。

「どういう事ですか!?」その問いに対して彼は答える。

「当時、奴等は他の妖怪達よりも数段強かったんだ。だから今まで勝てたことが一度も無かったんだよ」俺はその事実を聞いて愕然としたと同時に怒りが込み上げてきた。何故そのような存在に気付かなかったのかと自分を恨んだりもした。そんな事を考えていると、いつの間にか彼は何処かへ行ってしまったようで、部屋に取り残されてしまった。ずっと話聞いてた洋二は、俺に質問してきた。

「――爓さん、本当に戦うんですか?今なら引き返せますよ……?」その言葉を聞き、しばらく悩んだ末に結論を出した。

「いや、やっぱり行くよ」俺の言葉を聞いた洋二は呆れた顔で言った。

「はぁ~、そう言うと思ってましたよ」どうやら俺の考えなど全て分かっていたみたいだった。流石は俺の相棒だなと思い感心していると、急に部屋の扉が開いた。そこには軍服着た人の後に銃を装備した兵士が立っていた。

「久しぶりの戦争だ!!」

威勢の良い声で叫ぶ男に驚いていると、信が教えてくれた。

「あの人は源頼忠曹長と言って、元上官なんですよ」それを聞いて納得した俺は軽く会釈をした。それを見た彼も笑顔で返してくれた。

扉から次々と元対奇怪隊のメンバー達が入ってくる中、最後に入って来た人物を見て驚いた。なんとその人物とは年寄りの女性だったのだ。これには流石に動揺を隠しきれなかったが、なんとか平静を保ちつつ自己紹介を済ませるのだった。

「どうも、元対奇怪隊大尉、北条爓と申します」

年寄りの女性は思い出したかのように口を開いた。

「――あー、知ってるよ!あんた昔よくうちの孫と戦ってくれたねぇ~」彼女の発言により、ますます困惑してしまう俺であった。そんな中、彼女が再び口を開く。

「あたいの名前は植木玉藻だよ。よろしくな」

植木玉藻!? あの異界警備隊の中で最強と言われている女性じゃないか! そんな人がなぜここに居るのか不思議であったが、今はそれどころでは無いので気にしないことにしたのだった。しばらくすると全員が集まったようなので作戦会議を始めることにしたのだった。まず最初に俺から話を切り出した。

「皆さんご存知の通り、今回の敵は強敵です。なので今回は少数精鋭による部隊編成を行いたいと思います」俺の言葉に皆が頷いたのを見て続きを話すことにした。

「まずはこのメンバーですが――」こうして俺達の部隊が結成されたのである。

対奇怪隊司令官・大山信(少佐)

第一制圧部隊・北条爓(大尉)

副隊長兼副官・山本洋二(三等兵)

第二偵察部隊隊長・植木玉藻(中佐)

第三斥候部隊隊長・山田洋次(少尉)第四斥候部隊隊長・渡辺美香里(軍曹)

第五斥候部隊隊長・田中次郎(准尉)第六遊撃部隊隊長・大泉舞子(伍長)第七狙撃兵中隊中隊長・武田文夫(上等兵長)

第八工作兵小隊小隊長・佐藤真央(一等兵)

第九歩兵分隊班長・源頼忠(曹長)

以上計9名で構成された特殊部隊である。また、彼等以外にも多くの兵士が作戦に参加する事になっている為かなりの人数になる予定である。ちなみに隊員達は全員顔見知りであり仲が良いので連携力は高いと思われる。その為どんな敵でも負けることは無いであろうと思われたが油断はできない状況でもあるのだそうだ。

そして俺達は早速行動を開始したのだった――

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