~フロレアン王国の華~〝いい子〟に疲れたヒロインは、最強最悪の悪女を目指す。

藤堂かなめ

【序章もどき】夢と現実

小説『フロレアン王国の花』エピローグ

満天の星空とそれをそっくり写し取ったような夜景を眺めて、シャーロットは溜め息をついた。

今や全ては彼女のものだ。

ここまで辿り着くのにどれほどの困難を乗り越えてきたことか。その全てを思い返して、今やフロレアン王家の一員となったシャーロットは感嘆の溜め息をつく。

これで愛する家族に報いることができる。

それに何より、最愛の人、セドリック……彼と一緒なら何も怖くはない。これまでも、これからも。

「もう、憂うことは何もないんだわ。」

柔らかな夜風がバルコニーに立つシャーロットの金髪をそよがせる。澄んだ月光が照らし出したその姿は一輪の花のように美しい。

皆に愛される〝フロレアン王国の花〟シャーロット・フロレアンの目の前にはどこまでも輝かしい未来が広がっているのだ。

眩い光に包まれて、自由の花シャーロットは天使のごとく微笑む。

賑やかな街の光は、いつまでも煌めいていた。

〈『フロレアン王国の花』完〉

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