第4話 老人の俺?

場所は田畑ではなくて、広い畳の部屋。たくさんの人たちが二列に並んで向かい合って座っている。各々の前に膳が据えられている。


上座に、いつもの夢のごとく「俺と同じ顔をした農民」を見つけた。ただ、ひどく年をとっている。白髪頭だし、顔中しわくちゃだし、背筋はぐにゃりと曲がっている。




そんな風景を宙に浮いて眺めていると、襖が開いて、給仕のような役割の若い女性数人、とっくりをおぼんに載せて入って来た。俺はとっくりを見てうれしくなったが、同時に給仕のような役割女性の一人に見覚えあった。近しい人のような気もするけど、う~ん思い出せない。


各席に酒は運ばれて、リーダーのような青年の音頭で、宴会ははじまった。「俺と同じ顔をした老人」も嬉しそうであり、酒の注がれた皿に手を伸ばした。だがその時、呻き出したのだ。身体は、畳に崩れてしまった。


周囲の人たちは慌てて「俺と同じ顔をした老人」に近づいて、呼びかけたり顔をたたいたりした。でも、「俺と同じ顔をした老人」の意識は戻らなかった。


はっと、俺は目を覚ました。だが、いつもと違って渇きはない。代わりに、見捨てられたような虚しさを感じた。何でだろう?時計を見ると朝の4時。俺は寝なおした。


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