第6話「ハロウィンとお隣さん②」

「さあ、準備しましょ」


「あー、君こそ話題をそらした」


「お互い様じゃないすか」


「まあ、この答えはお預けで」




 僕と一ノ瀬さんは部屋の飾りつけをした。飾りつけはだいたい完成した。その頃に姉さんが来た。




「みんなお待ちかね青星ちゃんの登場だよ」


「どうかな? いい感じ?」


一ノ瀬さんが机にのりながら姉さんに聞いた。


すると姉さんは目を光らせて


「おお~、めっちゃいい感じやん」


「でしょ〜」


と俺は自慢気に言った。


「お前は自慢気に言うな」


「やってない姉さんが言うな」


「私はバイトしてたから仕方ない。ねえ、許してくれるよね千乃ちゃん?」


「うん、仕方ないね。そのかわりこれから働いてもらうからね~」


「あいあいさ、青星ちゃんのためなら」


「よし、働け姉さん」


「お前に言われるとやる気無くなるわ〜」


「青星ちゃんこれお願い」


そう言うと姉さんはやる気まんまんでやった。




 姉さんの加勢もあってすぐに終わった。


 


「よっしゃー、できたー、千乃ちゃんおつかれ」


「え? 俺は?」


「あんたもよくやった」


「珍しく褒めてくれるんやな」


「明日が楽しみだね。松井くんと青星ちゃんの仮装楽しみにしとるわ」


「楽しみにしとってな、ところで2人とも下の名前で呼び合いによ」


姉さんがそう言うので僕は驚いた。でも一ノ瀬さんは全く動じずに


「そうだね。じゃあ、これからは文也くん」


「お、おう」


「はい、文也も千乃ちゃんを下の名前で呼ぶ」


「ち、千乃さん」


「よろしい」




 僕と千乃さんの関係は少し前に進んでいるのかもしれない。姉さんのおかげ?




 次の日、今日はハロウィンパーティーの日だ。僕は無難にドラキュラにした。個人的には結構よく仕上がっていると鏡に写る自分ドラキュラを見てそう思った。そろそろ時間だ、千乃さんの部屋に向かった。インターホンを押して出てきたのは警察官の仮装だった。少し「ドキッ!」としてしまった。




「青星ちゃんもう来てるよ。さあ、入って入って」


姉さんは魔女の仮装をしていた。


部屋に入るといきなり


「あんた普通ね〜笑」


「うっせぇ、姉さんこそ普通じゃねえか」


「そんな私達の仮装なんてどうでもいいでしょ、それより千乃ちゃんの仮装ヤバくない? 女で良かった〜、男なら惚れてたわ。あんた惚れたでしょ?」


本当にかわいいと思った。でも僕は恋をしないので惚れる事はないだろう。


「まあ、かわいい」


「だって、千乃ちゃん良かったね」


「ありがとう、文也くんも似合ってるよ」




 それからハロウィンらしいカボチャのケーキなどを千乃さんが作ってくれていた。なんで天は二物も三物も与えるのだろうか? 


そんなときに姉さんが


「ゲームターーイム、説明しよう。今から大激突スマッシュロワイヤルをします。最下位は罰ゲームがあります。それはとってもシンプルだ、1位が3位の人にわさび入りのシュークリームを口に入れまーす。」


大激突スマッシュロワイヤルは俺と姉さんがよくやっていた格ゲーだ。


「千乃さんはこのゲームやったことある?」


「結構やったよ、スマロワ懐かしいな~」


「私が1位になって文也にこのわさび入りのシュークリーム食わせてやるからな~」


「言ったな、俺が1位になっても姉さんにわさび入りのシュークリーム食わせてやるからな」


「わさび? かわいそうじゃない?」


「千乃ちゃんは優しいな〜、このために用意したんだから」




千乃さんに「あーん」されるのを僕は少し考えてしまった。




 

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