その4(最終回) 初めての義姉さん

何とか、恋人のまま高校を卒業出来た俺たち。

大学は政経に進んだ俺に対して、さっちゃんは医療の道を選んで、そのちょっとした隙間を嘲笑うように、今後は俺が罠に掛かった。

大学一年の学部の新歓コンパ。慣れないお酒に泥酔して寝込んだ俺のベッドには裸の同級生が一緒に……。


三月「まあ、あれはみえみえの罠に見えたよ」

五月「何よ、お兄。私のほうが罪が重かったの?」

三月「いや…どっちもどっちだよ。二人とも人の悪意に慣れていなかっただけさ。高校時代からのカップルは、結構これにやられて別れるんだ」

「兄ちゃん…」

あの時も兄ちゃんが助けてくれた。怒って拗ねちゃって全く俺の話を聞いてくれなかったさっちゃんと違って、兄ちゃんは親身になって俺の話を聞いてくれて、やがてその同級生が俺以外のプータローとも付き合っていることを暴き出してくれたんだ。

三月「まあ…あわよくばお前に乗り換えたかったんだろう。でも元カレをキープしている時点でギルティだったな」

「でも…あの時は一年くらい別れてたんだよね」

五月「だって…正太郎だけ勝手に童貞卒業しちゃうんだもん」

あの泥酔じゃ…やってないと思うんだけど。その後もどんなに誘われても兄ちゃんの忠告通り一切手をださなかったし。

三月「お前らなあ~大変だったんだぞ。高二のときも大学生のときも五月慰めるの」

「それなんだけどさ…兄ちゃん、どうやってさっちゃん慰めてたの?」

三月「ん?」

「いや、高二以降は俺たち最後の一線以外は身体合わせてたけど、なんか復縁したさっちゃんの感度が爆上がりしてたんだよね」

三月「気のせいじゃない?」

五月「気のせいだよ正太郎」

?「気のせいかなあ?」

……へ?

三月「…早かったな、サオ」

サラサラなセミロング。背は高いんだけど霞みそうなくらい華奢な身体。びっくりするくらいの小顔。端正な容姿に不釣り合いなほど大きな瞳が若干の子供っぽさを醸し出す。

さっちゃんとはある意味真逆な魅力に溢れた女性が、いつの間にか兄ちゃんの後ろに立っていたんだ。

(画像)

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093078710055889

サオ「大活躍だったんだね~みっちゃん」

三月「なんだ…聞いていたのか…って!お前ら、呆けるなよ!」

五月「…みっちゃん」

「…みっちゃん!?」

サオ「…あれ?なんか不味かった?」

三月「…今度、秋男や達也の前でお前のこと『サオ』って呼ぶ」

サオ「待って待って待って!そ…そんなことされたら、爆笑されちゃって仕事にならないよ~」

三月「…お前は、ナチュラルに俺が地元でそうなりそうなことを今やったの!」

サオ「え~みっちゃん可愛いじゃん!ね~正太郎くん、笑わないよね~」

「は…はい…ぷぷっ(がっ!)ぎゃあ!いだいいだいいだい!アイアンクローダメ~」

三月「おめえが記憶喪失になるまでやる!」

「義姉さん、助けて!」

サオ「はいはい、みっちゃん、どうどう!」

三月「…勘弁してよ沙織~」

五月「………」


実は…兄ちゃんは新婚さんである。披露宴はもうすぐなんだけど、二人は籍を入れて一緒に暮らし始めていたんだ。

さっちゃんの顔が少しだけ寂しそうに見える…さっちゃん、兄ちゃんのこと大好きだもんな、照れてほんとのこと言わないけど。


沙織「…ところでさ…みっちゃん?」

突然だ…今までは少し子供っぽい言動を展開していた義姉さんが、急に有能な大人の女性に変化した。

三月「(汗)」

五月「(汗)」

沙織「その時、妹ちゃんをどう慰めたのか…きりきり吐きなさいよ!」

うん!俺も聞きたい。頑張れ義姉さん!!


【一旦 おしまい】

まあ、なんだかんだで五月と正太郎は上手く付き合っているのです。

さて、五月はともかく正太郎の出番は少し飛んで、「五月と結婚」「三月と五月、ゆうこちゃんの再会」までありません(予定)。

ですので、この後は新シリーズ、沙織の登場編である「うちの嫁はロリ顔で仕事が出来て…エロい!」

https://kakuyomu.jp/works/16818093077722577817

に移行、本投稿は一旦終了といたしますが、後発投稿含めて引き続きお読みいただけますと幸いです。

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