第3話 運命のMarionette

セントラルハンター


それは2つの意味を持っている。まず一つはセントラルを拠点にセントラル防衛、強力なセルリアンの撃退を目的に設立された組織の事である。二つ目は、セントラルハンター内においてある程度の権限の行使が認められ、他のハンターより一段身分が上として扱われる「官職」としてのセントラルハンターである。



9月15日、ヤマカガシは「ハンター研修」から「ハンター」に昇格後9月16日に「セントラルハンター」に昇格した。これは先の戦いでセントラルハンターに欠員が空いた事による差配であった。


しかしこの人事に関しては不満を抱くものが殆どであった。彼らにとってセントラルハンターに就任すべきは策を立案し、セルリアンをあと一歩のところまで追い詰めたティラコスミルスがよりふさわしいという意見である。

確かにドローンの戦闘記録を見返しても終始セルリアンに食らいついていたのはティラコスミルスの方であり、ヤマカガシ、他の事務で同行していたハンターの証言によるところ、作戦立案、臨時の指揮を取ったのも彼女であった。


ヤマカガシとしても自分よりもティラコスミルスの方がセントラルハンターにふさわしいと思っていた。彼女からしたらそもそもあの戦いでは触手から逃げ回っていただけだったと思っていたし、あんなのは手柄の横取りだ、とまで思っているのである。


実際彼女は人事部に自分の出世を取り下げ、ティラコスミルスに譲渡する旨の交渉を行っていた。しかしこの企ては隊長であるサーベルタイガーによって失敗したが。


しかしこの行動は全て裏目に出てしまったのである。

彼女自身は本気でこの交渉に当たったが、この交渉が失敗したのは「わざと」であるというような噂が流布し始めたのである。曰く「これは対外的なアピール、パフォーマンスである」と。


結果ヤマカガシをセントラルハンターとして受け入れるのを拒否する同僚が現れたり、隊長にティラコスミルスをセントラルハンターにすることを「進言」する者まで現れる始末であった。


そういった動きに対してティラコスミルスはヤマカガシの誠実性や彼女の功績を誠実に「自分を出世させようというハンター」に説いて回ったのである。最初はヤラセであると騒いでいたハンター達も、彼女の熱心な説得を前にしては、意見を取り下げるしかなかった。まぁ、元来騒ぎ立てたいだけのハンター達に思想性などなく、彼女が事件に関わるようになれば失速していくのも道理であった。


その中で一人、新しく副隊長に就任したメガネカイマンは「活躍に見合った功績を与えるべきである」と一人彼女をセントラルハンターに就任させようと活動していたが、彼女自身が出世意欲はないと表明してしまったので、失速せざるを得なかった。



私が副隊長さんの元に呼ばれたのは「あの」職についてから一ヶ月くらいたった後のことです。

セントラルハンターになってからというもの、苛めというほどのものではありませんが、業務に邪魔が入ったり、先輩に揶揄されたりと完全にやる気を失っていました。

最近は仕事すら回って来ない有り様だったので、私はずっと家に籠もっていました。

ティラコスミルスはたまに遊びに来ましたが、基本的には事件の鎮火と私の名誉挽回に動いてる様で、あまり遊びに来れないからごめんね〜。と言っていました。本来私より彼女の方が辛いだろうに私のために動いているのが、私をより追い詰めました。


そんな最中の出頭命令。命令なので逆らう事はできません。特に副隊長は最後までティラコスミルスをセントラルハンターに就任させようと尽力したと聞いていました。

なら私は憎いはずで、私は何を言われるのか、身震いしました。


もしや、ハンターの立場を剥奪されるかもしれません。でも、その方が良いような気もします。


でもティラコスミルスは悲しむでしょう・・・なんなら副隊長に殴りかかるかもしれません。


私は彼女のことを思いました。いつでもややうつ向いて笑ってる彼女の姿を







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