番外編 しあわせ

※今回から瑠依視点


これは寮にもっていく荷物を詰めている最中の出来事だ。

「あれ、るーちゃんそれなあに?」

「ヘアケア用品、だけど......」

「そんなにいるの...?」

「い、いるよ!髪は女の命っていうくらいなんだから、大切にしなきゃだし、私は髪が長いからお手入れも念入りに必要だし、そもそも私は元の髪質がよくないから人一倍気を使わないといけないの.....!」

「へー、そうなんだぁ。確かに見た感じるーちゃんはお肌も綺麗だし髪の毛もつやつやだよね」

「あ、ありがとう……毎日ちゃんとケアしている部分をほめてもらえて、私......すごくうれしい」

「いいなぁ、わたし、るーちゃんの髪さわってみたいなぁ……」

「え……?いいけど……」

「ほんと!?やった!じゃあ失礼して……」

そういいながらわたしの髪の毛に優しく触れてくる。思わず体がぴくっとはねてしまう。だけど嫌な感じは一切なくて、むしろ触られた部分から何か温かいものがじんわりとひろがっていくようだった。きっとそれは幸せっていう言葉で表現されるもので……。わたしはこの幸せをずっと手放したくないって思った。

「わー……きれい。ほんとふわふわしてて、さらさらしてて、とっても触り心地がいい~」

「……っ!」

「……るーちゃん?」

「……あ、ご、ごめんね。ちょっとぼーっとしちゃってた……。そ、その、ありがとう」

「?何の話?というかわたしのほうこそありがとうだよ。るーちゃんの髪って本当にさらさらでずっと触っていたいなぁ……あ、そうだ!」

「どうしたの……?」

「ねえるーちゃん!せっかくだしわたしにヘアケア、教えてくれないかな?」

「え、う、うん、いいよ....」

「やったーっ。これでるーちゃんとおそろいのさらさら髪になるんだ~♪」

その時は存分に触りたいな。という思いも秘めつつ、まずは引っ越しの準備をすることにした。

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