黄昏れて誘われて。

恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界

黄昏れて誘われて

 僕は学校の最上階の窓から見る景色が好きだ。朝のきれいな空気を纏う街が、昼に飛び交う車達が、夜に輝く夜景が。毎日見ている。

 もっと景色を楽しめる場所、この学校の屋上にいつも行きたいと思ってる。屋上へ行く扉に鍵がかかっているから行けないでいる。ジャンプすればそれが出来るルートは知っている。でも、人の目につきやすくて諦めている。

 ある冬日の夕方、偶々午前中で授業が終わり、夕方、教室には僕だけとなった。チャンスだと思い、急いで屋上に行けるルートへと向かう。周りに人がいないことを確認しつつ、屋上へと跳ぶ。屋上に行けた達成感と緊張感でそのまま横になる。空からいつもよりも広く見える。日の沈む方の淡い橙色から、逆側の淡い藍色へとグラデーションになっている。真ん中あたりは雲はないのに空から淡く白くなっている。堪能してから立ち上がると足元から目線まで大きく広がる街がある。あまりの様子に黄昏れてしまった。段々と夜になっていく。……もう少し眺めていよぉ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

黄昏れて誘われて。 恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界 @Nyutaro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

同じコレクションの次の小説