第5話

またところ変わって、(ホテル)椿館つばきかんの中にある新郎の控室にて…


新郎の控室に圭佑ケースケ伯母おばとマタニティ服を着ている女性がいた。


圭佑ケースケ伯母おばは、圭佑ケースケがほのかと結婚することがものすごく気にいらないので激怒していた。


伯母おばと一緒に来ていたマタニティ服の女性は、妊娠9ヶ月目であった。


胎内にいる父親はどなたか分からない…


女性は、性的暴行の被害を受けた…


伯母おばは、圭佑ケースケに対して結婚相手を変えてほしいと強要した。


思い切りブチ切れた圭佑ケースケは、伯母おばに対して『帰れ!!』と言うた。


「帰れよ部外者よそもん!!オレはあんたの要求には一切応じない!!」

圭佑ケースケ!!なんてことを言うのよ!!」

「あんたはオレとほのかの結婚に言いがかりをつけたからぶっ殺してやる!!」

伯母おばさんは、いじわるで待ったをかけたのじゃないのよ!!(妊婦)さんの胎内にいる赤ちゃんのためを思って言うたのよ!!」

「ふざけるな!!あんたはなにが言いたいのだよ!!(妊婦さん)の胎内にいる赤ちゃんのためとはなんだよ!!」

「(妊婦)さんの胎内にいる赤ちゃんに父親がいなかったらどうするのよ!?」

「オドレぶっ殺してやる!!」


思い切りブチ切れた圭佑ケースケは、近くにあったものを手にしたあと伯母おばの背中を殴りつけた。


「やめて!!なにするのよ!!」

「あんたがオレとほのかの結婚にケチをつけたからやっつけてやる!!」

「やめて!!いたいいたい!!」


控室の外にて…


常吉つねきちとよしこは、控え室の前で圭佑ケースケ伯母おばが大ゲンカを起こした現場を目の当たりにした。


現場を目の当たりにした常吉つねきちとよしこは、ものすごく困った表情でつぶやいた。


大失敗した…


圭佑ケースケとほのかちゃんの結婚祝いに大金をかけすぎた…


圭佑ケースケは、精神的に安定しているからと思っていたけど…


気に入らないことがあれば、暴力をふるうなど…悪い面がたくさんあった…


大失敗した…


大和とほのかちゃんを別れさせて大失敗した…


こんなことになるのだったら…


大和とほのかちゃんを結婚させるべきだった…


大和を正規雇用の会社に転職させないと…


お嫁さんがきてくれなくなる…


どうしよう…


またところ変わって、北高下きたこうげのスタバにて…


大和は、きょうこと一緒にお茶をのみながら話しをしていた。


大和は、きょうこに対して結婚披露宴ひろうえんはなんのために挙げるのか分からないと言うた。


きょうこは、のみかけのフラペチーノをひとくちのんでから大和に言うた。


「そうね…新郎新婦おふたりは…カネがほしいのじゃないの?」

「カネがほしいから、結婚披露宴ひろうえんを挙げるって…」

結婚披露宴ひろうえんはそんなものよ…幸せをおすそ分けしたいと言うのはタテマエで、ホンネはカネくれと言うているのよ〜」


それほんとうなの?


大和は、小首をかしげながらつぶやいた。


きょうこは、白いお皿に盛られているシュガードーナツをふたつにさきながら大和に言うた。


「大和の幼なじみのコとダンナはなにを考えているのか分からないわね…」


なんとも言えない…


きょうこは、ふたつにさいたシュガードーナツをもぐもぐと食べたあとフラペチーノをひとくちのんだ。


その後、大和に対してこう言うた。


「ねえ大和。」

「なあに?」

「あんたの幼なじみの女の子とダンナは、同じ大学で知り合ったのね。」

「うん。」

「ふたりを引き合わせた学生はなにを考えているのかしらね。」

「えっ?」


きょうこは、フラペチーノをひとくちのんだあと小さなスプーンでクリームをすくいながら大和に言うた。


「アタシね…幼なじみの女の子と結婚した新郎クソヤロウのことを知ってるのよ。」

「えっ?」

「たしか、ミツオミITのプログラマーだったよね…」

「うん。」

「その新郎クソヤロウは、3年前に(ファッションクラブに出入りすることを)禁止を喰らったのよ。」

出禁できんになった男?」

「そうよ…その翌日、新郎クソヤロウは勤めていた会社をクビになったのよ。」

「勤めていた会社をクビになったって?…それじゃあ、ミツオミITは?」

「プログラミングの講座を受けたあと転職したのよ。」

「それじゃあ、前はどんな仕事をしていたの?」

「幼稚園の先生だったのよ…子どもたちにきちんとした性教育きょういくを教えなければならない人がうちの店で働いていた女の子に無理な要求を強要したのよ…」

「それで幼稚園の先生をクビになったって?」

「そうよ…」

「それじゃあ、ミツオミITはどうやって転職したの?」

「言わなくても分かるわよ…人のコネを使って転職したのよ。」

「そう…思う。」

「あとね、これも小耳にはさんだ話だけど…新郎クソヤロウの兄・じんのことについても知ってるのよ。」

「えっ?ほのかちゃんの新郎ダンナにおにいがいたの?」

「ほんとうよ…これがものすごく悪い男よ。」


きょうこは、フラペチーノをひとくちのんだあと圭佑ケースケの兄の悪口をボロクソに言うた。


じんは、松山市内のホストクラブで働いていた男よ…じん新郎クソヤロウの何百倍も悪い男よ…じんは、6ヶ月前にうちの店の女の子を追い詰めるなど…たくさん悪いことをしたのよ…じんは、うちの店の女の子につきまとうなどで心理的なダメージを与えた…その結果、女の子は命を絶ったのよ…それなのにじんはのうのうと生きているのよ!!だから許さない!!」

「その…じんと言う男の職業は?」

「たしか…貿易会社の経営者だったかな…だけどじん親御おやと大ゲンカして家出したあと…ヤクザになったのよ。」

「ヤクザ…」

「そうよ…もういいわよ…こんな話はやめようよ。」

「そうだな。」

「大和は大丈夫よ…」

「えっ?」

「大和は…お店の女の子たちにやさしいことは知ってるわよ…キュー(抱きしめてもらう)だけで十分の甘えん坊さんの大和を…ほっとけないのよ。」

「きょうこ。」

「甘えたいのね。」


大和は、きょうこのQカップの極爆乳おおきすぎるおっぱいに抱きついたあとゆっくりと甘えた。


「よしよし…かわいい…」


またところ変わって、(ホテル)椿館つばきかん結婚披露宴場ひろうえんじょうにて…


時計のはりは、午後2時半をさしていた。


この時、新たなもめ事が発生した。


披露宴場じょうないにチャラい格好の男が土足で入った。


チャラい格好の男は、圭佑ケースケの兄・じんだった。


じんは、バイシャクニンを務める予定の夫婦に対してカネをくれと言うた。


「カネがいるのだよ…頼むこの通り!!」

じんくん!!帰りたまえ!!」

「なんだよ!!カネくれないのかよ…ちくしょー!!」


バイシャクニン夫婦に拒否されたじんは、受付にあった祝儀袋を強奪した。


それを見たよしこが止めに入った。


「ちょっとやめなさい!!」

「カネがいるのだよ!!」

「弟さんのお祝いごとのおカネだからやめて!!」

「止めるな!!」


じんは、よしこをはらいのけたあとネイビーのボブソンの後ろのポケットからスマホを取り出した。


その後、ダゾーン(スポーツ観戦アプリ)をひらいた。


スマホの画面には、東京競馬場の中継映像が映っていた。


スマホのスピーカーからラジオニッケイのアナウンサーによる実況放送が聴こえた。


この時、じんが大金をかけた9レースが始まった。


「頼む…勝ってくれ…」


じんは、ものすごくあせった表情でスマホの画面を見ていた。


最後の直線コースに入った。


各馬いっせいにムチが入った…


同時に、場内に大歓声が響いた。


「そのまま行け〜!!」


じんは、叫び声をあげながら大金をかけた馬を応援した。


しかし、ゴール直前で他の競走馬うまに抜かれて大負けした。


大敗をきっしたじんは、頭がサクラン状態におちいった。


じんは、披露宴場じょうないに入ったあと出席者のみなさまを殴りつけた。


「やめろ!!」

「離せ!!」

「カネよこせ!!」

「なにするのだ!!」


そこへ、ウェディングプランナーの女性がおたついた表情で披露宴場じょうないにやって来た。


「大変です!!新郎さんが控室にいた妊婦さんをナイフでりつけた事件が発生しました…すぐにケーサツに知らせてください!!」


それを聞いたじんは、ワーッと叫びながら控え室へ向かった。


「(妊婦〜じんのカノジョ)!!」

「待てコラ!!」


じんに殴られた男性客数人がじんを追いかけた。


それから20分後であった。


(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…)


椿館つばきかんの正面玄関前に愛媛県警けんけいのパトカー8台が到着した。


ところ変わって、新郎の控室にて…


愛媛県警けんけい鑑識捜査員かんしきたち20人が現場検証をしていた。


「ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」


ウェディングドレス姿のほのかは、両手で顔を隠した状態でぐすんぐすんと泣いていた。


圭佑ケースケは、じんじんのカノジョであった妊婦さんをナイフでズタズタにりつけた…


妊婦さんとじんは、圭佑ケースケによって殺された。


(ガチャ…)


圭佑ケースケは、手錠をかけられたあと捜査員たち50人によって連行された。


このあと、出席者のみなさまたちは任意で愛媛県警本部ほんぶへ行くことになった。


出席者のみなさまたちは、事情聴取を受けるために夕方6時頃まで本部に滞在した。


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