第66話誰だこいつらと言われても困ります
「シオンこれを見てくれ、どう思う?」
「異世界に来てまで少女逹の盗撮とは、控えめに言ってクソですね」
「以前からしてたみたいに言わないでもらえる?僕はね、そういうこと聞いたんじゃないの」
「クルス商会の元締めがロリコンとか、世間にどう弁明するおつもりで?」
「とりあえず、それを前提で話進めるのやめてもらえる?70のおじさんがどの世代眺めてもロリコンになるじゃない・・・・・・僕の妹の思考回路こんなんだったかな」
この共和国の中心に高層ビルを建設する時にも、異世界の景観を台無しにするカスと散々言われたけども。
「飛行の魔導術が元々存在したのでは?」
「君の解析でそれはないと確信してるんだけどね、秘匿された文献でもあるなら話も変わるんだけど・・・映像を拡大して注視しても、この子からは魔導術の形跡が見られないんだよね」
「映像を拡大してまで幼女をガン見とか、控えめに言ってクズですね」
「揚げ足取るのもやめてもらえる?僕達の製作している飛行ユニットも未だに試験運用すらできてないのに、当前のように飛ばれてるとね」
「光学兵器に近い装備を使ってる時点で、魔導具の可能性も考慮すべきですが」
「分かってるのなら無理矢理脱線しないでもらえる?アーティファクトもそれなりに確認したでしょ、それもない」
「で、井戸水で髪を洗ってる幼女の映像はいよいよ持って弁解できないと思いますが?」
「違う、違うよ?内容無視の切り抜きは悪質なの・・・これはこの子が気になっただけで・・・」
「はい言質取りました、往生際が悪いですよ?」
「発言というのはね、全文確認するものなの・・・まだ話してる途中でしょうが・・・この世界に来て40数年、魔導師もそれなりに見てきたけどこの子だけ他と魔導術の機序が異なる。分かるよね?切り抜いてもおかしいこと言ってないからね?」
「この子だけ・・・見てきたけど・・・抜いて・・・使い・・・」
「やめろ!音声切り合わせもなしだ!なし!僕を失脚させても何の意味もないでしょ・・・この世界に来て強化された量子演算を変な事に使わないでもらえる?」
核爆発のエネルギーを利用してこの世界に飛ばされたというのがシオンの演算で導き出した解答だけど、物理法則を無視して高密度なエネルギーだけで可能とは到底・・・・・・40数年未だに解明できていないのだから。
「古代文字を利用した魔力放出の際、外気魔力との相互干渉で発光文字として大気中に浮かぶ・・・現在もこの工程に変化は生じていません」
「魔導具は直接刻んだ術式の経路を辿る事で直接発光する、これの事象変化もないのなら、そのどちらもこの子と所有物には確認できない・・・・・・シオンの解析と僕の見解も間違ってはいないとなれば・・・」
いよいよ原理が不明だ、分かった事と言えば王都で話の出ていた謎の魔導具使いがこのよう・・・少女ということだが、その結果更に不明な点が増えるという悪循環よ。
「この世界で生まれ持った天性の才の類では?」
「それもないよ、行動が衝動的過ぎるし・・・特にこの鎧装備が半壊してるにも関わらず、宙を意味もなく飛び回ってるのが理解できない」
「そこですか、不思議な事にこのフィオナ・ウィクトールが霧に武器を構えた時点で、ルスカ・カリーナに対する演算での勝率が77%になりましたね」
「そう言うことは早めに言ってもらえる・・・?どういうことだ?最初0%とか絶望的な事言ったの冗談ではすまないよ・・・支援控えめにしちゃってたんだから」
勝てないと分かってる戦に投資するのはちょっと・・・と世間体もあるから勘づかれない程度に抑えたけど、この世界の人達はあまり疑わないからね。
「そういう冗談は言いません、この少女逹がアーシルに到着した辺りでも確率変動は起きていましたが」
「なんでそういう事今言うの・・・ドローン映像を見た限り、この子達が異様に強いとは言っても、シオンが戦闘した場合のシミュレーションで勝率が0であるにも関わらず討伐できたのが形容しがたいんだよね」
メイド服を着ている今の非戦闘状態でも、魔力と魔導術の仕組み解析に加え外気魔力連動で国級クラスも問題なく発動させれる、それでも勝てないと言ったのだ・・・これがどういう事か、火力で倒せない化け物に、通常の剣やら魔法やらで討伐が可能ならシオンの戦闘モードで倒せない道理はないんだよね。
「因みに空戦装備もなく、高速の移動手段もないので、今更無意味と判断したまでです」
「君が可動範囲超えて動かして壊すからでしょ、ただ飛ばすだけなら簡単なの!そもそも君なら壊れない範囲で制御できるでしょ?」
「限界は知っておいたほうがよいかと、その末路がマッドサイエンティストと認定、世間から排除されかけたではありませんか」
「人はね、生身で周波数を防げないの・・・言葉は使い方次第で凶器になるんだよね」
「先程の話に付け加えると、フィオナ・ウィクトールが最終的に霧へと構えたのは行動解析上、確信的にあの位置に向いてます」
「急に話を変えたり戻したりするのもやめてもらえ・・・やっぱりそこだよねぇ、その後に再生能力を失ったかのように攻撃が効いてるもんねぇ・・・この幼女が何かしたのか?」
「ついに幼女と認めましたね、アキ・クルス?」
「幼女にしか見えないでしょ!何歳よこの子、シオンだってこの子気になってるんでしょ!?」
「いえ別に、ただドローンを見たときの反応が他の子達と違い、認知しているようでした」
「興味のない振りするのもやめ・・・・・・・・・なんだって?この世界の人間が知っているはずないだろう?」
「行動解析上、確信的にドローンを認識しています・・・冗談を言ったつもりがない時にまで疑うのはやめてもらえませんか?」
行動解析上、確信的に僕がロリコン認定されてたりするのか?・・・違うそうじゃない。
この世界に存在しない物を認知しているなど・・・それが前提となれば話は変わる、光学兵器に酷似した装備の理由にも説明が・・・付かないんだけどね。
「光学兵器を偶発的に扱っているわけではないと、知った上でのあの形状であるのなら・・・いやそんなまさか」
「そもそも、銃型の武器で察しはついてると思っていたのですが、昔子供の頃に読んでいた本の内容にも似た話が数えるのも面倒な程に無駄に沢山山積みして・・・」
「黒歴史を掘り返すのもやめてもらえる・・・だってありえないでしょ、異世界転生や召喚なんて幻想空想など・・・だから現実見て失望したの!」
「異世界は現実でも発生するという論文、世間に叩かれたのまだ根に持ってるのですか?」
「あれだって誤解だというのに・・・正確には平行世界は現実で相互干渉する、だ」
「科学者が量子論すら無視した論文出せば叩かれる事くらい、やる前に気づきません?」
「現代科学で説明できるのは事象ありきだ、認知できない現象など、エビデンス信者に通用しない・・・僕もそうだったから否定できないけども」
「周波数は人の脳に作用し、意図的に世界が入れ替わる様は、平行世界線そのものを移動させるかのように、現実世界に生きる人の精神構造のみに位相逆転を発生させ・・・」
「やめろやめろ!あれ以降、僕は輪廻転生論系統は見たくも聞きたくもないんだ、スピリット・ナチュラルや信仰心には陶酔するにも関わらず、何故あれは与太話扱いなのか・・・」
「人類は基本、自身に都合の悪い事を脳が受け付けません、認知、認識しても容認するかは個人の立場で異なります・・・とは言え、周波数で認識が変動するは言い過ぎでは?」
「映像と音だけで過去の行動を無かったかのように世界規模で大衆の意識が逆転したんだぞ?震災規模の死者数が平時に超過しても認識しないのは異様というほか無い」
ノイズキャンセルもびっくりだ、位相を戻すどころかそれを逆転させるなど・・・過去に発言した言葉を忘れるどころかそれが反転した上で行動の変化を認識していない。
逆波形で打ち消すのではなく逆転する、それと同時にフリップドロップも起こらなくなる・・・文字通り深層意識レベルで反転するから人はその現象を認識できない。
スピリチュアル系、もしくは言霊が本当に機能するのであれば、見せかけだけの映像や音を人は本能的に察知できるはずなんだけどね、表層面の情報だけで煽動されているのだから現代人には使えないということの証明にもなるだろうね。
ピープルとアビテーターはもはや区別も付かないけども・・・一般人を扇動者にすればどうなるかはフランス革命で実証済みだし。
「人に話を脱線するなと言っておいて、脱線しないでもらえません?」
「人の心を・・・もういいもういい、机上の空論が無意味なのは身を持って知っているとも。シオン、彼女達に接触してみて」
「発言には気をつけた方がいいかと、幼女に接触したいはダメです」
「帝都に向かい彼女達と対話を試みてほしい、エクタシス君も問題が解消されたのだから建国祭を開催するだろうからね・・・それと、僕をロリコン認定して君に何の得があるんだい?」
「建国祭までは王都に戻らない可能性を見越して会いに行ってこいと、我関せず帰国する可能性もありますが」
年頃の子達が祭りを前にして無視して帰るなど・・・いや、僕も確かに地元の祭りに関与せず帰宅していたけども・・・ゴミを増やすだけの儀式だとか言って。
「また何か思い出しているようですね?」
「石鹸や洗剤は飲めないと認識している割に、錠剤は躊躇いもなく使う・・・科学成分がどうと言いつつ生物の作用機序には無関心と・・・・・・存外、思考回路自体を変えるのは簡単な事なのかもね」
「百害の1つに注力するのに他の99からは目を逸らす、今更何を気にする必要が?」
「そこまでは言ってないよ、喋ってないことを捏造するのやめてもらえる?」
「大人が毒に汚染されてるなら子もまた同じ、これなら間違ってないですね?」
「親は等しく毒であると曲解された時の話は・・・化学物質で発生した病気を化学物質で治せるわけがないだろうと言っただけなのにね」
病原体を免疫が処理する際の活性熱を化学物質で下げるとどうなるか、病原体は残り免疫機能だけ落ちる・・・熱が下がるのを治っていると医学の常識にすれば、熱がぶり返してもそれが薬物の問題とはならない。
異世界なだけあってかここは免疫学もなければ化学(ばけがく)系統も・・・町に病院すらないと驚かされたものだが、怪我はあっても病気がない・・・唯一それっぽいのが魔力切れと魔力障害くらいのものだね。
「まあシオンを生かす為に常識全て捨て去った時から地獄行きは覚悟してたけど、まさか否定した異世界に来ちゃうとはね・・・現世自体が異世界と大差はなかったとはいえ」
「私が言語解析したからそれで済んだんですよ?日本人に日本語が通じないのとは訳が違います」
「予防する可能性を期待しています、なんて日本語を行政側が使うからね、戦争を起こす必要がないくらいに末期だったよ・・・善行悪行で死後の行き先が変わるのであれば、虐殺者を支持した人々の行き着く先は・・・考えるまでもないよね」
「死後の世界とはまた違いますが、過去に否定していた高次元エネルギー説をフィオナ・ウィクトールに当てはめても、確率は0のままでしたね」
「人が認識できないと謳っているものに名前がついているんだよ?エーテル、アストラルやメンタルだブッティと、それこそ与太話だと思うんだけどね・・・都合良く解釈し、身に起きた事を正当化する際、否定し無かったことにする」
「その言い分ですと、ご自身で提唱した平行世界干渉説も否定していることになりませんか?」
優生学思想から派生した心理学基準で話は止まっていた、僕も結局は同じ穴の狢だったか・・・・・・と、シオンは既に荷物をまとめ部屋を出る用意をしていた。
「ちょっと待って、その格好のまま行くわけではないよね?」
「必要最低限の装備は所持していくので御安心を、強敵は久しくなかった感覚です」
「シオン?・・・行ってしまったか、接触しろとは言ったが物理的にとは・・・冗談であればいいけど」
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