永久に願いを~ABSOLUTE WISH~

藤咲梗花

プロローグ

 あたしを、置いていかないで――


 そのさけびは、たった1つの願いは叶えられた。あたしの不老不死ふろうふしと引きえに。


 王さま――生きて――死なないで。


 その、生きて欲しいという願いはたしかに叶えられた。この王なら、不老不死ののろいもけるだろうと、あたしは思ったんだ。






 ウル。ソナタは、死に場所を探していたのではなかったのか?


 まだ死ねないと、そう思って、くっした精神をたたき起して歩き出したのではなかったのか?


 それが、何故なぜオレ生命いのちささげた?

 半人はんじん半神はんしんが聞いてあきれるな。あれほど裁定さいていし続けたソナタによって、生命いのちを救われるとは。


 くだらぬ。ああ、くだらん。

 寵愛ちょうあいあたえたがために、その生命いのちささげたというなら、これほど馬鹿バカげた話があるか。



 

 

 王さまの哀哭あいこくなみだが、ほおつたって落ちる。


 ありがと――王さま。あたしのためにいてくれて。


 王さまがあたしのためにいてくれるなんて、思ってなかった。だから、少なからず、うれしかった。


 もう身体からだは死んでしまったけれど、たましいになったあたしは、その光景こうけいを目にして、旅立ったんだろう。


 

 

  

 


 

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