きすまになりそう

ピエレ

  きすまになりそう


 きすまになりそう

 と

 きみはつぶやいた

 部屋を出る寸前だ

 

 その声が一粒の砂金のように小さすぎて

 ぼくの胸に幾つもの疑問符が飛んだ


 え? 

 だからぼくはきみの赤く燃える唇に耳を近づけたんだ


 きすまになりそう

 と

 もう一度きみのやわらかな唇は漏らす


 え? 

 言葉の意味が解らぬぼくは

 きみの恥じらう瞳を覗き込んだ  

 そこにこたえがあるかと

 瞳の奥にもぐり込んだ


 きすまになりそう

 と

 最後に告げて

 きみはぼくに魂まで奪うキスをした


 きすまになりそう 

 と

 ぼくもつぶやいていた


 

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きすまになりそう ピエレ @nozomi22

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