深緑のアイドル?
メガゴールド
第1話朱雀、アイドルになる
人間界、天界、魔界。この世に存在する三つの世界。
それぞれ人間界に人間、天界に天界人、魔界に魔族という種族が存在する。
天界軍は天界だけでなく、魔族の侵略から人を守る仕事を主に
神邏は高校生ながら、そうして日夜人々を守り続けているわけなのだが……
今回はそれとはほとんど関係のない話だった。
♢
「朱雀、君アイドルやってみないかい?」
――突然の話だった。
神邏の上司ともいえる、天界四将軍、西木ミズチがいきなり世迷い言を言いはなったのだ。
ちなみに西木は気弱そうな大男である。
頭に大量のクエスチョンマークがよぎった神邏は聞き返す。
「……今なんと?」
「アイドル。やってみないかって」
……神邏はわけがわからなかった。
「突然なにを?」
「いやね、ここ最近魔族との戦いも激しさを増す一方。そのため人間界と天界を行き来するアイドルがいないんだよ」
「それはどういう……」
「つまり、怖くて人間界にみんな行きたがらないんだ」
……理屈はわかる。だが、神邏は思う。
「それで、なんで自分に白羽の矢が?」
「君人間界出身だし、行き来してアイドル活動できるでしょ?」
「……できるからって、なんで自分なんですか?」
「君、顔が良いじゃないか」
神邏はアイドル顔負けの絶世の美男子だった。これ以上ないほどの美形男子。
普段はメガネしたりと、目立たない格好してるから気づかれづらいが、本気を出せば女性なら誰もが振り返り、顔を赤くする事だろう。
それだけ容姿が優れてるのだ。
実際、軍では彼に一目惚れした者や、隠れファンクラブが作られていたりする。
「……顔がいいって……そこまでではないでしょうに」
ちなみに、本人は無自覚だった。
「とにかく、少しの間でもいいから頼むよ!知り合いの芸能関係者にカッコいい男子紹介するって言っちゃったんだ!」
ひたすら頭を下げる西木。
「……なんで紹介するなんて言ったんですか」
「いや、その~」
押しに弱そうな西木の事だ。その芸能関係者に無理やり頼まれたのだろう。
神邏は基本目立つのが嫌いだし、その上無口。向いてるわけがなかった。
だから当然答えは……
「悪いんですけど、」
『し~ん~らくん!』
名を呼ばれ振り返る。
そこにはとてもかわいらしいピンク髪の女の子、神邏の幼なじみ、神条ルミアがニコニコしながら立っていた。
「ルミ、……聞いてたか今の話」
「はい!」
ニッコリ元気に返事してきた。
彼女も止めてくれるだろう……
そう神邏は思ってたが、
……なにやらサイン色紙みたいなものを渡された。
神邏は聞く。
「……何?」
「サインく~ださい!私が神邏くんの第一号のファンです!」
「え、俺断る気なんだが……そもそも賛成なのかルミ」
「神邏くんなら、世界一のアイドルになれますよ~むしろ軍なんか辞めて、そっちに専念したほうがいいくらいに!」
「いやでも」
「とにかく!サイン下さい!」
笑顔のままサイン色紙を手渡される。
……仕方なく書く。
「えっへへ~家宝にしますね!」
とびきりの笑顔をみせるルミア。
(かわいいからいいか……)
一瞬思考停止した神邏。
(……とはいえ、アイドルなんてやってる暇などない)
学園生活と、天界軍としての仕事の二足のわらじ。
いつも軍の仕事があるわけではないが、趣味に没頭したりもしたいし、これ以上余計な仕事などいらない。
だから断る。
すると西木は言う。
「とりあえず、少しでもやってくれたら、お金だけじゃなく絶品クリームソーダーでるよ」
(い、いやそれくらいで……)
「ゲーム会社にツテで最新機種やソフト用意させて提供するよ?もちろん遊ぶための休日も作るし」
(………………)
「妹や弟にもなにかしらデザートでも、プレゼントでもあげるよ」
(マジですか……)
「すごく喜ぶだろうな~自慢のお兄さんって言われるかもよ?」
「……す、少しだけなら……」
神邏はつい、釣られてしまった。
(どうせ人気なんか出るはずもないし、すぐ終わるだろう……)
という甘い考えで安請け合いしてしまった神邏。
……時期に後悔することになる。
つづく。
――神邏ファンの日常のコーナー。
神条ルミア、今日この時点でファン一号の称号を得る。
「ブイ!No.1です!」
何故アイドルを進めたの?
「悪い虫つくのは嫌ですけど、アイドルって写真集とか出すじゃないですか。グッズとかも。それが欲しくて。合法的に」
合法的?
「あ、……いや~その~写真隠し撮りとかなんてしてませんよ!」
何も言ってないんですけど……
――コーナー終わります。
次回は、朱雀、社長に会う。
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