虎日記

虎満々

虎1ー男女の性消費問題を添えてー


 中古ショップは学生にとってはオアシスみたいなものだ。金を使うために働いていて金を得る、という資本主義は最も学生が体現しているだろう。大人の方々は福祉資本主義、または修正資本主義の一員として社会保険料を莫大に負担しているのだから。


 しかし、学生もただ幸せにバカな買い物が出来るわけではない。中古ショップのフィギュア棚を「これはネットと比較して安い」だとか「これからプレミアになりそうだ」などと、まるで転売屋になったかのような貧しい考えを持ちながら見つめているばかり。これもそれも10%の消費税のせいだ、消費税0の時代に生まれていれば!と隣の芝生を憎んでいたりもする。

 ネットが発達すると、店頭の出会いに喜ぶこともあるが、それよりもまず検索して値段を比較してしまうことの方がよっぽど多い。かと言って、思い切り良く数万もするフィギュアをえいや!と買うことも出来ないので、ますます貧乏臭さが身に染みる。これもまた現代の若者特有の苦悩のような気がする。

 

 また、私はしばしばCD棚も眺めて、特に店舗別特典を探すことがある。CD文化が衰退しつつある中、乙女向けCDの手先は少しの売り上げを伸ばそうと、店舗別に10分から30分のショートストーリーCDを付けて売る。(これは昔からある手法だから、今に始まった事ではないことは承知している)

 熱心は乙女(笑)方は全ての、3つ4つは場合によってあるが、それぞれの店舗で同じCDを何枚も買うのだ。それも最近は18推という、乙女は乙女でも「大人の」乙女(笑)の方向けの作品ばかりで、値段も2000円が一般だった昔と比べて1000円近く値上がりしているパターンも多く、最近はどの店舗も通販ばかりで送料の負担が大きいこともあり、つまり何が言いたいかというと、中古ショップで15分1200円で売られている店舗別特典を漁ることにも必死になるというものだ。

 会社を応援したいなら新品で買えよ!と皆は怒るかもしれないが、せいぜい2枚が限界なので許して欲しい。これに加えて全巻購入特典なるものも存在するので、「同じ商品を複数買わせる仕組み」vs「消費者」の問題を提起することで、私は叱責の外に居たい。


 そもそも某ダウンロードサイトがセールばかりするから元の値段が上がってるんじゃあるまいな、と邪推してしまう。同じCDであっても電子より円盤が(CDやDVDなどをこう呼ぶ)発売が3ヶ月も遅いのも不満だ。仕方がないことかもしれないが、さらに電子が発売記念!(笑)とやらでセールしていると、もう新品を予約して3ヶ月お預けを食らっている身としては胃にクるものがある。こう、ムカムカと。


 そんなこんなで、乙女向けのCDを買い占めていると、CDもなかなか嵩張ってしまって仕舞う場所がない。すると、母親がそれはとても大事にしているピアノの演奏部屋には、壁一面に私のエロCDが並んでいるわけだ。哀れ、母親。

(もちろん全年齢の作品の方が多いが、シチュCDは存在自体が際どく、たとえ全年齢であっても親にはとてもじゃないが聴かせることはできないことは想像に容易い)

 

 昨今のインターネッツは男vs女の対立が激しく、また性の消費問題にも厳しいためか、「男女の交わりは希薄になり、男は男が生産したコンテンツを消費する、つまり女を循環の外に置いた自己(性別)完結の性消費を行うようになる」との意見を見かけた。確かに某ダウンロードサイトの猛威を間近で見ると頷ける意見だ。それも男に限った話ではなく、TL漫画はむしろ女の方が売り上げが多いんじゃないか?と思ったりもする。同人漫画の一本が10万もDLされているのを見ると、完全にエロ同人漫画は今のトレンドだろうなとプロデューサーの気分になる。何の?と聴かれれば、それはもちろん同人漫画原作音声作品のプロデューサーだ。これから増えていくんじゃないか?私は男側の声だけverは差分として絶対に欲しい。

 音声作品は異性の協力を得ているとはいえ、流行りのASMRも同性の手によって作られたパターンが多いのもやはり、同性の性生産といえよう。そして乙女シチュ界隈というのは嬉々としてTwitter(X)でエロ音声の感想を語るので、側から見たら中年親父のAV談義と変わらない。あの声優が人気だとか、このサークルのコンセプトが良いとか、あの声優の出演が増えて欲しいだとか、AV用語に置き換えたって全くおかしくない話だ。しかも界隈人たちは卑猥な文字が満載のジャケ画を臆せず晒してしまうので、「男vs女-性消費対決-」なんてくだらないと鼻で笑っている部族そのものだ。「近代の知識人(笑)とは違う野蛮な私たちは、恥ずかしげもなくエロを晒せます」なんて声が聴こえてくる。そしてこの界隈はお互いの感想コメントが多いのも特徴なので、その部族のコミュニケーションの独自進化にはシートンもびっくりだ。私はいくらエロ音声を500本買おうとも、こんなことは出来ない……

 

 これもまたTwitter産なのだが、「人間は潜在的にバイなのではないか?」という意見がある。

 これは、「ガチホモは無理!ギャグにしか見えない笑」などと言って淫夢を擦る男性がケモショタなら喫することができるだとか、「百合の泥沼恋愛最高!」と韓国アイドルの同性カップルが、さらに同性と浮気しているのを見てキャーキャー言っている女性だとかで、日本人の国民性も少なからず関わっているだろうが、その片鱗を垣間見ることはできる。あとここだけの話、ケモショタ好きは女性より男性の方が多いと感じている。


 ネット上は過激思想の煮凝りなので、全て薄ら目で見るのが正しいROM方法だが、あくまで判断材料の一部として一例に挙げた。なので批判の意図は全くないことを示しておく。「狭い世界 差別はしない無差別 これからの日本のシステムに不可欠」って般若も言ってました。かくいう自分もゲイ向け(と、マイノリティに合わせた表記は不適切だという意見もあるがここでは分かりやすいので)のファンボだかファンティアだかを課金しているので、同じ穴の狢である。


 健全な皆様方からしてみれば某ダウンロードサイトのワードランキングなんて発狂ものだし、シチュCDの特典商法は消費者センターにクレームを入れてやりたくなる代物だろう。友人は特撮好きだが、特撮のグッズもランダムばかり、値段も550円〜880円とランダムのくせに高額で、完全に「大きなお友達」相手のアコギな商売なことに驚きを隠せない。フィギュアは滅多に再販しないし(これに関してはもうしょうがない)……俗世から離れればここら辺の悩みからは解放されるだろうが、部族の一員として俗物に塗れて暮らしていたい。お金が欲しい。カイドウさんの5万するp.o.pフィギュアが欲しい。


 世間の流行はいつか必ず終わりが来るが、今の二次元的な性産業大流行りはいつ終わりが来るのか?私は某ダウンロードサイトの終了またはサークル主の公開終了によって、数多の音声作品が聴けなくなる日に怯えるばかりである。


 電子の時代にあっても、母親のピアノ部屋の壁一面のエロCDは増加の一途を辿っている。

 

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