嫌いな仲良し。

吉村汰謳

第1話

ジリジリと暑い日差しが皮膚を貫き、ひぐらしがコロコロと淋しそうに泣いている。

自分は高2になりもう3ヶ月が経つ。クラス替えにも慣れてきた頃だと思う。みんながアニメやドラマで見たような、華やかで楽しそうな高校生活に憧れてはいたが、それは入学してすぐに消え去った。運動も勉強もそこそこで、常に平均くらいの自分であった。1人、畦道をトボトボと歩いている。

「こうなったのも全部あいつのせいだ。」そう呟くと蝉が冷ややかな目で自分を見るかのように、少し黙り込んだような気がする。そう、これもあいつのせいだ。

あいつとは小学生からの同級生Aで、何をするにも自分よりも上で嫌な奴だ。嫌な奴と言っても、悪い事をしている訳ではない。自分が一方的に嫌っているだけである。Aの周りには友人が多く居て、彼女だって居る。かく言う俺は友達と言える人は少なく、彼女だってできたことがなかった。そんなAへの嫉妬なのか、自分はいつもAに向かってジトッとした視線をクラスで送っていた。しかしそんな自分のところへ、Aはいつもニコニコと近寄り、話しかけてきた。

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