美しい言葉

 僕は、美しい言葉を求めている。僕の胸にすっと沁みこみ、僕の体中に浸透して、染み渡るような、美しい言葉を。綺麗な鳥のさえずりが、僕の鼓膜を透過するように。木の葉を吹き抜けるそよ風が、僕の肌をそっと撫でるように。柔らかい人の手のひらが、僕の頬をじんわりと温めるように。そんなふうに、僕を透明にしてくれる美しい言葉を、僕は求めている。言葉で、僕を透明にして、溶かして、僕の肉体を失わせて、星がきらめく夜空と一体にしてほしい。底まで澄み渡る透明な川の水と一体にしてほしい。森林に漂う清らかな空気と一体にしてほしい。

 僕はどうしてこんなにも美しい言葉を渇望しているのだろう。これは、人の根源的な欲求なのかもしれない。美しい音楽を求めるような、美しい絵を求めるような、おいしいごはんを求めるような、そんな欲求なのだろう。

 美しい言葉で、僕を満たしてほしい。

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