僕と風俗嬢!③

崔 梨遙(再)

1話完結:1200字

 恋人がいない時の風俗通い、お気に入りの女性が風俗をやめてしまい、新しく贔屓にする女性が出来た。当時、僕は30代の前半。僕は若い女性にあまり魅力を感じない。理由はわからない。30代の女性が好きだ。だから、通っていたお店も人妻専門店だった。だが、実際はバツイチの子持ちが多いことを僕は知っていた。


 贔屓にするようになったのは渚。店のプロフィールには33歳と書いてあったが、実は37歳だったらしい。年齢など関係無いのだ。渚は何歳であろうが美しかった。さすが、若い頃にモデルをやっていただけのことはある。渚はバツイチ、子供は男の子が1人。僕は、渚のことを気に入っていたのでお金を惜しまなかった。


 基本、3時間コースだった。これはかなり長めだと思う。普通は、90分コースが多いと聞いた。3時間コース、単純にお金もかかるが、渚は僕の理想のタイプだったので、プレイを楽しむだけではなくデートも楽しみたかったのだ。


 だから、1時間半は喫茶店でコーヒーを飲んだり食事をして、デート気分を味わってから残りの1時間半でプレイしたりした。僕のマンションに来てもらったこともあった。或る時は、プレイ無しで3時間、近くの屋内プールに行ったりもした。渚の赤いビキニ姿はかなり魅力的だった。


 イベントがあれば、プレゼントもした。指輪はサイズがわからないのでネックレスが多かった。


 ところが、僕に気になる女性ができた。その女性は美咲という名前だった。美咲と渚、どちらが好みか? どちらが好きか? と言うなら渚だろう。だが、何故か僕は美咲のことが気になって、美咲を守ってあげたい、放っておけないと思ったのだ。


 だから渚に言った。


「もう、会えない。気になる人が出来たから」

「そうなんや、ほな、ジュエリーショップについてきて」


 僕と渚は指のサイズを測った。僕は右手の薬指、渚は左手の薬指だった。


「あと1回、もう1回会おう! 今回はプライベートで」


 僕はOKした。


 デートの日になった。その日はテーマパークへ行くことになっていた。アトラクションで盛り上がり、最後に観覧車に乗った。


「崔君、はい、プレゼント」

「え! 指輪? この前サイズを測った指輪?」

「そう、左手の薬指につけてほしいけど、右手の薬指で我慢するわ。私は左手の薬指につけてるから。ほら」

「ほんまや、僕とお揃いの指輪、左手の薬指でええの?」

「私、崔君と会う度に“崔君の奥さん”の気分を味わってた。でも、私もいろいろ事情があるから誰とも結婚出来へんねん。だから、崔君のお嫁さんの気分を味あわせてほしい。気分だけ。気分だけやったらええやろ?」

「ほな、これから左手の薬指にずっとその指輪をつけてくれるの?」

「うん、崔君は右手。私は、ずっと崔君の奥さんのつもりでいるから」

「なあ、渚」

「何? 崔君」

「今度生まれ変わったら、絶対に結婚しような」



 観覧車が下に降りる前に、僕と渚は最後のキスをした。







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