肝臓(レヴァー)の味は賛否別れるが質感は得難いモノだ
石川タプナード雨郎
第1肉厚、と照り
今、彼のキッチンのまな板には上質な牛のレバーが鎮座している。
深紅の輝きを放ちながら調理者の腕を確かめるかの如くたっぷりとした肉厚で
艶々としたその肉塊は健気に恋人を公園のベンチで待ちながら時を過ごす少女の
ような儚さと優雅さがうかがえる。
その少女は今日も又ある人物をいつもの時間にいつもの公園で待ち合わせていた。
厳密に言うと彼女は待ってはいない。何故なら所謂待ち合わせ時間は
まだきておらず、大分早めの時間に敢えてベンチに座っているのだ。
それにも少しばかり理由があるのだがソレはまた別の機械にでも
説明させようと思う。待ちながらと描写したのは客観的に判断した結果、
そういう表現になった事をまずはご了承頂きたい。
まずベンチの座っている彼女、年齢は十代後半、といっても後半ギリギリかな?
見た目よりもまず目に飛び込んでくるのは纏っている制服だ。
身長、容姿の感じからして高校生だろう。
後ろ髪を三つ編みで整えてある。極々薄い度数でデザインは地味目ながらも気品が
感じられる眼鏡を掛けている。が、観る人からみればおおよそはその娘が
美少女である事は隠しきれないほどに可憐な唇、黄金律をも凌駕しそうな
顔の部位配列。しかし残念ながらソレに気が付く人間は恐ろしく少ない。
ほぼほぼ気が付いていない、全く気が付かれていないというのが正解だろう。
そんな彼女も極々客観的に見れば只の女子校生である、ただ一つの事柄を
除いては。ソレはこの媒体で披露する事は困難?いやこの話は別の媒体の方が
向いているのでいまここで述べる事は出来ないが反響しだいでは検討の余地も
ありそうだ。さて前置きが長くなったが、ここからが中置きの始まりである。
ベンチに座っている彼女の視界に飛び込んできたのは、、、、、、
ある人物が手中にある機器のトグルスイッチをカチッっという音とともに
ONへと傾けた。傾けた親指には毛が生えていた。
しかもそれはわざわざ金髪に染められていた。丁寧且つたっぷりと時間を掛けて。
更にその毛の長さも厳密に決められていた、あるルールにのっとってだ。
肝臓(レヴァー)の味は賛否別れるが質感は得難いモノだ 石川タプナード雨郎 @kingcrimson1976
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