第6話

「ウッそーっ、全米デビュー?うそでしょう」

ミイが授業中に大声を出した。

コイツは時と場所がまるでわからん、

ようするに真正のアホなのだ。

「そこ、うるさい」

担任が今度は大声を出した。

「なっ、オレの恋人すげえだろ。おれ最初から

スイカの才能見抜いてたんだ」

村路がぬけぬけとぬかしおった。

もとはといえばこいつのおかげで、まあ、

わたしはスターダムにのしあがれそうか。

「でも、なんかスイカがいなくなると、さみしくなるな、きっと」

村路が葬式のときのようにしんみりと

しやがった。

「だっ、大丈夫だよ。いま通信機器も

長足の進歩を遂げてるし」

わたしは極力暗くならないように話した。

「でも、本当に大丈夫?ドタキャンのスイカっちゃ

有名だよ」

「大丈夫だよ。まさか10億ももらって

ドタキャンだなんてそんな」

わたしは汗を拭きながらそう答えたの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る