第2話
「マドンナの数の子?」
スイカは渡された金ぴかの名刺
を手に取ると、数の子の
流麗に蓄えた口髭を
繁繁と眺めた。
「ハイ。わたくし、大手、芸能プロダクション
マドンナの統括本部長、数の子敏明といいます。
以後、お見知りおきを」
数の子は頭をポリポリとかきながら
たどたどしい口調で喋った。
その話はところどころ非常に聴き取りにくかった。
「芸能界の方がわたしに何の用ですか?」
スイカは警戒心をあらわにして話した。
「いえ、あなたの歌唱力には本当に
感服しました」
「歌唱力?」
スイカは生まれてから今まで一度も歌を歌ったことが
なかったのだった。
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