俺にはヒロインが多すぎる!
ニンジン
第1章 出会い
第1話 始まり
「やった…やったんだ俺は! 」
俺こと
――そうここから俺の花の学園生活が始まる。
そう思っていた。だが、現実はそう甘くないらしい。
入学してから1ヶ月、彼女どころか友達すら居ない。
完全に孤立してしまったのだ。その理由はとても単純だ。入学式のあった次の日から、努力の代償か風を引き3日ほど休んでいたのだ。
クラスの雰囲気が出来上がるのには3日という時間は長すぎた。俺が復帰した頃にはもう遅かった。
クラスの輪はもうとっくにできてしまっていた。
そこから、クラスの流れを掴めずに孤立してしまったのだ。
「はぁ……こんなはずじゃなかったのにな」
と誰にも聞こえないような声でため息と一緒に呟いた。
周りではクラスメイトたちの楽しそうな声が聞こえてくる。もし、自分がそこにいたらと思うと悲しくなってくる。
楽しそうな声を出している奴らの中に一際目立っているやつがいる。
――彼女の名前は
彼女は黒くて長い髪、整った顔立ち、人を惹きつけるような優しい目、鈴を転がすような声、そして制服越しにでもわかる素晴らしい胸。それでいて締まるとこは締まっている非の打ち所がないやつだ。
だが、俺は知っている彼女は俺と違い成功した側だと。
なんといっても俺と彼女は同じ中学だったからな。
中学時代の彼女は教室の隅で本を読んでる大人しいやつだった。その当時でも美人なことで有名だったからよく色々な男子から告られていた。何を隠そう俺自身も彼女ことは可愛いし綺麗だとは思っている。まぁ…それでも俺は告白なんてしなかったがな。
だが、俺は羨ましいし憎いのだ。自分と違い高校デビューを果たした――彼女が。
中学校生活の3年間偶然にも同じクラスだったのだが、彼女があんなに楽しそうに話しているのを見るのは初めてだった。
もし、俺が彼女のように高校デビューが成功していたらと思うと、胃が痛い。
そう思いながら彼女の方を見ていると、目が合った。やはりいつ見ても可愛い。羨ましいし憎いのだがあの可愛さには俺では勝てない。
「はぁ……」
とまたしてもため息をついた。
そう俺はわかっているのだ。もし風邪で休んでいなかったとしても俺は――彼女のようには絶対になれていないことを。
◇
そんなことを考えながら今日をすごしていると、もう放課後になっていた。放課後は教室に残って騒いでるやつも多くいるので俺は皆がいなくなったのを見計らって教室から出るようにしている。
普段待っている間は読書をしているのだが、今日の俺は違った。あろうことか机に伏せて寝てしまったのだ。
◇
寝てからどれぐらい経っただろうか。聞き覚えのある声が目の前の席から聞こえてくる。いつも教室で嫌なほど聞こえるあの声が。
「ふふふ……こんなところで寝てるなんて、可愛いわね」
やはり、聞き覚えのある声だ。今日も俺はこの声を聞いた。
――そう、夕凪碧の声だ。
なぜ、彼女の声がするのか分からなかったが、あの言葉は俺に向けて言われているということだけはわかる。
俺は自分の顔が熱くなるのを感じた。
いや待てよ…嘘だろ? あの夕凪碧が今俺の前にいて俺に可愛いって言ったのか?
別に俺は顔が特段良いわけでもなく運動も特段できる訳では無い。唯一出来るのは勉強くらいなもんだ。そんな俺に彼女は可愛いと言っているのだ。
早く帰りたい。俺はそう思うのだが彼女が帰る気配は無い。
このままだと俺は恥ずか死してしまう。どうにかしなければ。
そんなことを考えているとまた声が聞こえてくる。
「好きよ……私の王子様」
その声を聞いて俺はもう我慢の限界だった。俺は勢い良く頭を上げ起き上がった。
―――あとがき―――
どうも初めましてニンジンです。
今回が初めての投稿となります。
初めての投稿ということもあり拙い文章だとは思いますが、楽しんでいただけると幸いです。次回に関しては投稿日は未定です。ただでさえ遅筆なので2週間以内に出せればなと思っています。間に合わなかったら気長に待ってくれるの嬉しいです
もし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます