転生した俺が嫌われ王女様に愛を教えたら〜異世界転生した俺がこの世界が乙女ゲーだと知るまで〜
ぷろっ⑨
第一章 巷で話題のヒーロー
第1話
目を覚ました俺は、まだ生きているのかと一瞬思った。
最初は生きてて良かった、ありがたいなど、そんな事も
一瞬思った。
だが、起き上がろうと伸ばした腕が短すぎる事に気づいたとき、
俺は死んだということに気づいた。
いつも通りの登校路のはずだった。
パン屋とカフェが向かい合った交差点。
通る度に今日はここに寄ろうと思っても、いつも結局疲れて
通り過ぎてしまう店の多い通路。
出勤する大人たちの後ろを着いていく形で信号が変わるギリギリ
で渡りきれる交差点。
晴れているのにやけに人が少ないとは思ったが、
きっと不吉の予兆だったのだろう。
いつもよりも空いている横断歩道を渡ったときだった。
突如パン屋の横から、トラックがドリフトしてこちらに
突っ込んできたのだ。
まだ警察に追われている車や、それを追いかけるパトカー。
峠で走り飽きた走り屋たちならば、まだ理解はできた。
だが、予想外の出来事に俺は体が動かず、そのまま
突っ込んできたトラックの荷台にふっ飛ばされ、
意識を失った。
(…俺は死んだらしいが…生まれ変わったのか…?)
俺、
どういう原理なのかは分からないが、この腕と、中々喋ることのできない
未発達の喉からして、自分が赤子であることは間違いないだろう。
試しに手を開いて結んでを繰り返してみる。
うん、赤子だな、俺。
ガチャッとドアが開くような音がした。
おそらく来たのだろう。
新しい両親はできるなら…ちょっと厳し目の父親と
優しめの母親が良い。厳しすぎる夫を叱る優しい妻の光景は
見てて楽しいものがあるからである。
そんな俺の少しの期待が高まる中、ひょこっと金髪の女性が
俺の瞳に映り込んだ。
(…え、金髪ですか…?それは大丈夫なのか…?)
金髪の母親で不安になるのは失礼だと思う。
だが、見た目が若すぎるのだ。俺の通ってた学校の3年生の先輩
と同じくらいの年齢にしか見えない。
(所謂…デキちゃった婚…)
そんな嫌な方向へと進んでいく俺の思考。
だが母がいるということは、高確率で父親がいるというものだ。
「お、カルム。起きてたのか。」
なんと、自分の名前が最早日本人ではない事と、
父親が何処からどう見てもチンピラのような金髪にサングラス
という、キラキラすぎる名前とチャラチャラした両親に
驚いてしまった。
なんて名前をつけてくれたんだと、小さい赤子の体で
手足をぶんぶんと動かす。当たり前だが、赤子は非力なので
あまり意味はないのだが。
「この子はどっちに似て育つかな〜?」
「いやー。やっぱり俺じゃないか?」
そんな会話を聞いていると、別に望まれずに産まれた子供では
なさそうだった。
(…まぁ、この体での一生はのんびりと…)
ひとまず消えた不安。
だが、俺は生まれ変わったこの世界が、いつも見てきた
日本だと認識しているままだった。
「それじゃ、外も寒いし…暖炉点けるか。〝ファイア〟」
俺の父である男の指先から、ボッと音を立てて、炎が出た。
思わず瞬きを何回もしてしまうが、確かに今、この瞬間にも
炎が出続けている。
「そうね…最近は王国付近じゃ氷柱ができてるもんね。」
「ま、シディスには氷柱ぐらい〝操作魔法〟で何とか
出来るだろ?」
父である男がそのまま炎をフッと息を吹きかけると
部屋の奥が少し明るくなった。
先程言っていた暖炉に火を点けたのだろう。
いや待て俺…冷静になるな。
父は母のことをシディスと呼んでいた。
そして、王国、魔法という単語。
間違いない。俺は多分、異世界に転生してしまった。
(…明日から目を盗んで魔法の勉強だな。)
その次の日から俺は、両親が飯を作ってくれている間と、
母のシディスが寝ている時、親父のハクロが畑仕事に
勤しんでいるタイミングを見計らって、
王国の歴史が記されている文献や、使われていない魔導書らしき
ホコリを被った本を読み漁った。
不思議と日本語では書かれていないはずなのに、
スラスラと読めてしまうので、少し驚いた。
寝ている時はシディスがガッチリとホールドしてくるので
諦めたが。
調べたことでこの世界のことがなんとなく分かった。
ここは貴族社会が成り立っているわけではなく、
王族と、冒険者という2つの身分に分かれており、
そのため商人や薬師などの職を持つ者も、全員冒険者という
〝身分〟が与えられている。
ゲームでは冒険者は
あるのだが、少し不思議だ。
しかし、その間に君臨する身分が存在する。
それが〝領主〟。
冒険者が王族からの褒美として貰う〝職〟であり、
その数は意外と多い。
俺が今住んでいるこの家はフルゥド領主という者が
管理しているフルゥド領の端にある。
領主は冒険者から金や食料を納めさせるの事はできないが、
ほとんどのケースで領主が王族に突き出すという
脅し文句で如何にも住民が自分に納めてくれているという
形になり、冬の冒険者たちからすれば迷惑以外のなんでもない。
領主は王族と繋がっているパターンがあるため、下手に言い返せない
という理由もあるらしい。
次にモンスター。
この世界での一番稼げる方法であるモンスター狩り
の対象で、確認されている個体は3000体以上。
それぞれのモンスターで相性が変わってくるのだが、
ほとんどのモンスターは武器があればどうにかできる
らしいので、特殊個体だけ抑えておけば大丈夫だろう。
そして肝心な魔法。
これは完全に、この世界での優遇人生が決まった。
魔法は、人によってそれぞれ使える魔法が異なる。
産まれてきて得た〝固有魔法〟によって、どれだけ
魔法を扱えるかも、威力もすべて違う。
更に、〝固有魔法〟の能力次第では、王族によって
一気に領主となれるケースもあるらしい。
俺の固有魔法は、〝超生成〟だった。
固有魔法は手首の辺りに文字が浮かび上がる
ことで確認できる。
両親にはまだ隠しておきたかったため、魔法を試すためにも
腕に〝超生成〟を付与した。
すると、頭の中で想像した完璧な疑似の皮膚が
できており、文字一つすら見えないようになっていた。
固有魔法以外にも覚えられる魔法はあるそうだが、
やはり固有魔法の存在が大きいのか、強い固有魔法を
持つ者ほど、覚えられる魔法の量は遥かに違う。
そのため、結婚して子を産む冒険者の多くは産まれてきた
子供が強力な固有魔法を保持していた場合、
領主に取り込まれないように功績を上げて領主になる者が
多いらしい。
以上が、この世界の冒険者の家に産まれた者の
知っておくべき常識。
この世界に来て15日が経った頃、歴史の文献を全て読破し、
退屈していた俺は、その日から覚えられる範囲で魔法を
習得することにした。
そして月日は流れ________________
6年後____。
「さぁカルム!父さんの腕にしっかり掴まってろよ!」
今年で5歳になった俺は、家族で近くの野原にピクニックに来ていた。
両親のシディスとハクロはどちらも一流騎士の職を持っている。
二人が家のテーブルに置いていた冒険者カードという
身分証明書のようなものに、〈冒険者〉〈一流騎士〉と
書かれていた。
体格はそれほどガッチリしていないが、
その力は本物で、親父のハクロなんかは最近昼寝から起きると
丁度作業に取り掛かっている場面を見たが、
素手で木をなぎ倒していた。最早人間を辞めているのだろうかと
疑うほどの馬鹿力はこの世界では意外と普通のものだったりするのだろう。
「ハクロ、そろそろご飯にしましょう。」
「お、もうお昼時か、よし食うか!」
ハクロに高い高いされている俺はしっかりと腕の中で
抱えられ、げっそりとした顔でシディスのいる木陰へと
運ばれる。
「もう、ハクロったらいつもやりすぎなのよ…
どこも怪我してない?カルム?」
「うん、大丈夫だよ、母さん。」
朝早くからシディスが作っていた昼ご飯のサンドイッチに
大きくかぶりつく。
3歳まではミルクしか飲んでいなかったため、今は何でも
咀嚼できれば美味いと感じてしまう。
母乳で育たなかったのかという質問には残念ながら返答はできない。
「いやぁ、良い食いっぷりだな!カルム!もっと大きく育って
俺よりもガッシリとした冒険者になってくれよ!」
「そうね…もう6年も経ったのね…。」
この領の景色はとても美しい。
元いた世界とは違い、建物や工場がないため、空気を汚染する
要因があまり無い。
強いて言うなら、素手で勝てるモンスターで有名な
ガスキノコが偶に臭いガスを放つくらいだ。
この世界に生まれ変わって最初こそは戸惑ったが、
今となってはここでの暮らしには満足している。
ちゃんと実力のある職業を持つ両親と、
それによってほぼ確約された安心安全の生活。
〝超生成〟によって固有魔法を〝回復〟に偽装して
いるため、王族に目をつけられることもなく、
のんびりとした人生を送れている。
後悔は無い。
「今日の晩飯は俺特性のステーキだ!」
「あら、今日は貴方が作ってくれるのね、楽しみ。」
シディスは俺が産まれたときの子供っぽさは抜け、
完全に立派なレディになり、ハクロは俺を楽しませるために
いつも一生懸命頑張ってくれている。
「やった!俺父さんが作るステーキ好きなんだ。」
今はただ、この生活が続くことを祈る。
ピクニックから帰り、晩飯を済ませた俺は、
ハクロとシディスにおやすみと言って自分の部屋に
駆け込む。
最近、〝超生成〟について分かったことがいくつかある。
それは、自身が覚えた魔法を組み合わせ、新たな魔法を
作れること。
その実践をするために、こうして両親が寝静まった瞬間に
出かけられるよう、準備をするべく早くに寝るような素振りを
取っている。
部屋の床に作った隠し収納庫から短剣3本と、黒いマントと
青色の塗料でコーティングした狐のような形をした鉄の仮面をつけ、
仕上げに履いている靴の先に〝疲労回復〟を付与し、
部屋の隅にポツンと置かれた椅子に座る。
そして、1時間後。
覚えたての魔法、〝
確認した俺は、窓の留め具を外し、静かに開けて
外へと飛び出した。
________________________________
家から数十キロ離れた場所に位置する、モンスターの巣窟、
ダンジョン。
俺が今いる領とは違う、クワイト領にあり、
未だ成功者はナシで有名な、世界攻略難関ダンジョンランキング
の4位に入るほどの王族からも度々挑戦者が現れては散っていくことで
もよく噂されているダンジョンでもある。
そんなダンジョンを俺は今日、攻略しに来た。
「…夜明けまで7時間…父さんが起きるまでは9時間か。
怒られる覚悟はできてるけど…やるしかないよな。」
というのも、これには勿論理由があった。
2年前、俺が3歳の頃_。
突如、領主のフルゥドが亡くなり、
新たに若い領主のスペンディが一帯を治めることに
なったのだが、このスペンディは冒険者時代でも
遊び人スペンディとしても有名であり、
気に入った女性を親から与えられた屋敷に連れ込み、
自分の本職の〈護衛大臣〉の仕事をサボっていたほどに
不真面目で有名だったのだ。
そんなスペンディが、明日、俺の母、シディスを
訪ねてくると手紙が一週間前、届いていた。
丁度二人がモンスターを狩りに行っているときに届いたので
俺しかその手紙の存在を知らない。
長々と綴られている文章を欠伸しながらも読んでいくと、
そこにはまさに、文献にも記されていた領主としての
姿があった。
内容を簡単に訳すと、
「シディスをスペンディの第二夫人に迎えたい。
俺も鬼ではない。お前らには確か息子がいたな。
一週間後の午後、お前の息子が俺に一撃でも入れれたのなら、
この話は無かったことにしてやっても良い。」
という、目を疑うような内容のものだった。
シディスは結婚する前から一流騎士の中でも人気がある
美少女であったため、今でもファンレターやラブレターが
家の郵便受けに入っていることがあるほど、その人気は
俺が産まれた今も衰えることはない。
だが、スペンディは俺の母に邪な感情を、あろうことか
権力で無茶を押し通してぶつけようとしている。
俺の人生において、まだ冒険者としての活動を母としていない身としても
そして正義感と慈愛で溢れた母を近くで見てきたからこそ、
この一件は、家族を離れ離れにするものになるかもしれない。
だからこそ、その無理難題に見える条件を、
圧倒的な差を見せつけて二度とそんな事をできないように
ポッキリ折る必要がある。
そのために、このダンジョンに来たのだ。
クワイトダンジョンのモンスターの中に、魔法を使う個体、
サイレントスカルというものがいる。
骸骨にかつての〈大魔法使い〉の魂が宿っており、
直立し、魔法を使いながら追いかけてくる危険なモンスター。
赤いローブを纏っている個体であれば、レアな武器がドロップすると
言われているが、まだ誰も倒したことが無いため、
その情報はあまり宛にしないほうが良いだろう。
俺が注目したのは、サイレントスカルが使う
共通の固有魔法、〝オールリセット〟という、
対象の固有魔法以外の魔法、称号、そして職業を
一撃入ることにつき、それら3つの中から一つを
消していくという、恐ろしい魔法である。
実際に、7年前にダンジョンに潜った王族のステラという
おっさんが、オールリセットをモロに喰らい、
一気に冒険者へと落ちていったという事件があった。
それを、残りの9時間以内にモノにする。
俺の〝超生成〟で〝探知魔法〟〝吸収魔法〟を組み合わせた
〝探知生成〟という魔法で、サイレントスカルが
オールリセットを使った瞬間に発動すると、
対象からその魔法を自動的に習得できるという聞くと
簡単なものだと思うが、そのためにはまず遭遇しないといけない。
更に、このサイレントスカルはダンジョンの最終階の
地下20階でしか遭遇できない。そのため、サイレントスカルのために、
ダンジョンの地下19階までに、うじゃうじゃと沸くモンスターを
往復分を考えて4時間で仕留め切らねばならない。
そう、もう分かったとは思うが、俺はオールリセットを
習得することで、スペンディにある領主の職業、王族に
与えられたであろう誇りの称号、そして護衛大臣としての覚えた
魔法を根こそぎリセットしてやるという、それはもう
素晴らしい目的のために今日はここに来た。
「…さて、潜るか。」
俺は仮面を深くかぶりこむと、ダンジョンの中へと
潜り込んだ。
________________________________
「…あれ、もう7階?」
ダンジョンに潜り込んだカルムは、現在最初の難関と言われている6階を
抜け、7階へと降りた。
ところどころドロップアイテムの期待できるレアスライムを
討伐はしたものの、情報では6階で生息しているはずの
ビルスネイクという毒の攻撃が厄介なモンスターがいなかった。
「まだ20分しか経ってないんだけどな…」
ブツブツと不安を覚えつつ、呟きながら、7階を順調に進んでいく。
異変があるものの、最後に潜られたのは3年前。
何がどう変わっていても、おかしくはない。
(…ま、それならいなくても…おかしくはな…)
「えぇぇぇぇぇぇ!!!これボスじゃないのぉぉぉぉぉぉぉぉ」
突如、フロアに耳がキンとするほどの大声が響く。
(…先客がいたのか。)
声のする方向に〝生命感知〟を向けると、いる。
10人ほどの大勢の人間と、1人の気持ちが昂って心拍数が他よりも
目立っている1人の合計11人。
ここからの距離は約200メートル。今鉢合わせたら面倒な事
間違いなしだろう。
「…まぁ、無視でいいか。」
この先を進むためには、とっととあと12階を降りていかないといけない。
そのため、今は王族だの、ほざいている連中と絡んでいる暇はない。
そう言い聞かせて進もうとしたときだった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
悲鳴とともに、ズシンという重い音が7階全体に広がる。
何人もの鎧と盾を装備した男達と、赤い派手な衣装に、
目が疲れるほど眩しく光り輝く装飾品を揺らしながら
汗を流す自分よりも少し大きい男がこちらに走ってきた。
「おい、そこの君ぃぃぃぃぃぃ逃げるんだァァァァァァァァァ」
「お待ち下さいヘイン様ぁぁぁぁ!」
彼らの後ろを追いかけてきていたのは、紫色に怪しく光る
鱗を持つ、巨大なヘビ型のモンスター。先程の階に居なかった
ビルスネイクだった。
「シャァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
初めて見る特殊個体のモンスターにして、初めての攻撃性のある
危険なモンスターを目の前にした緊張感というのはやはりある。
だが、ここで止まっていては、サイレントスカルに
たどり着くことなど夢のまた夢である。
「〝バインドショック〟!」
迫りくるビルスネイクの大きく開かれた口に向かって、
光り輝く輪が飛んでいく。
輪がビルスネイクの口周りに触れた瞬間、
電撃がフロアの中に走った。
プスプスと煙を上げ、黒焦げになったビルスネイクが
倒れ、それと同時に、奥に見える壁の一部がゴゴゴと
音を立てながら開いた。
(…なるほど。バインドショックは敵の大きさに合わせて
輪の大きさを調整できるのか。)
バインドショックは、シディスが最近教えてくれた対不審者用の
魔法、〝拘束魔法〟と昔習得した〝雷撃魔法〟を組み合わせた魔法であり
成功するかの確証は無かったが、上手く行ったようだった。
すると、後ろから頭をワシャワシャと撫でられた。
「…?」
「いやぁ、助かった助かった。すまないね。
君が居なければ死んでいた、礼を言おう。」
背中を叩いていたその人物は、少し赤みがかかった
黒髪に、透き通った淡く青い瞳を持った若い男だった。
背中に下げているそれはお飾りですかというほどの大剣を
持っているのに、それを振り回せそうなほどの体格はしていない。
(…めんどくさいけど、とりあえず進むか。)
「いえ、気にしないでください。それより僕は先に急いでいるので!」
それだけ男に言うと、颯爽と開いた8階への扉に目掛けて走っていった。
「えぇ…行っちゃったよ…」
王族の男、ヘインの行き場のない片手はそのまま何も無い
場所をただひたすら、こねくりまわすしかなかった。
後から来た護衛がヘインを珍妙なものを見るような目で
見ていたのは、言うまでもなかった。
「…8階は確か、武器が隠されてるんだっけ…。」
カルムは7階と大きく変わり、薄暗い空間の中、
あるアイテムを探していた。
天井から伸びたツタが、地面を飲み込んでいるようで
進むのが非常に面倒くさくなっていた。
すると、そんな中、慎重に通路を進むカルムの頬を
矢がかすった。
「何だ…?」
矢の飛んできた後ろ側へと視線を移す。
暗闇でよく視えないが、そこには確かに、何者かがいる。
ザッザッと近づく足音から、一歩ずつ離れるように
反対側へと進む。
その謎の存在は、カルムへとゆっくり近づき、そして
問いかけた。
「貴様ノ試練ヲ…教エテクレヨウカ?」
______続く
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