第4話 第ニゲーム
朝になった。
全くもって最悪の目覚め。
鴉がゲームの始まりと言うように絶望の鳴き声を発する。
悪夢が続いているようで実に不快だ。
俺は昨日全然寝れなかったから、多分それもあるんだろうけど…
あの男、一体何者なんだ…?
あの手紙のことといい、この菫邸のことといい、彼は金持ちと推定していいだろう。
こんな殺し合いに意味を見出さないはず…一体なぜ?
考えるだけ無駄だ、やめよう。
そう思い俺は思考を放棄した。
すると俺が起きたのを察したように、男が放送で、
「皆様おはようございます!寝心地はどうでしたか?
最上級のベッドをご用意したのですよ!笑」
全く、その最上級のベッドもあんたのおかげで台無しだよ本当。
「さて、今日のゲームは三つあります。」
「午前中はみなさんに人狼ゲームをしてもらいます!
正午は昨日と同じ毒味ゲーム。午後は嘘発見器ゲームをしてもらいます。」
「ではみなさん、昨日と同じ場所に集まってください。」
はあ、と渋々共有スペースに向かう。
部屋は風呂も服も完璧に用意してある素晴らしい部屋だったが、正直好きになれそうにない。家が1番だろう。
そんなことを考えながら昨日と同じ場所に集合する。
他の参加者はいつ殺されるのかとビクビクしているようだった。
「皆様おはようございます。
では午前中は人狼ゲームですね、カードを取ってください。」
それぞれ自分のカードを取っていく。
「それが皆様の“役職“です。
役職の説明はそのカードに書いてあるのでよく読んでいてください。」
「人狼は毎回、夜になると人を殺します。
その時に殺された人は…もう、お分かりですよね。」
ゴクリと唾を飲み込む。
「人狼ということがバレてしまったら、そこでゲーム終了。
人狼は殺されます。」
「では、ゲーム開始です。夜になったので、みなさん目を瞑ってください。」
参加者は全員目を静かに瞑る。
しんと静まる空気の中、緊張感だけがただ走る。
「人狼は手をあげてください。」
「…殺したい人を選んでください。」
「分かりました。では次に…」
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「夜が明けました。みなさん目を開けてください。」
自分が殺されていないことを確認して、目を開ける。
「今夜殺されたのは…」
ドキドキと心臓が鳴り止まない。こんなのは初めてだ。
「あなたです。」
後ろの男を指した。
それと同時に、男の首は吹き飛んだ。
ああ…やってしまった……
「では、人狼を決める話し合いを始めてください。」
『…あの、いいですか?
私占い師なんですけど、この人、人狼チームでした。』
女は俺を指して聡明そうに言った。
「…私はコスプレイヤーなんです。コスプレイヤーは占い師に占われると人狼チームと言われるんですよね。あなたが“本当に“占い師ならですけどね。」
『え…』
「あなた、人狼だからそうやって嘘を言ってるんですよね?バレてますよ。」
『そんなことっ…!』
「確かに…いきなり占いの結果を言うのもなんだか不自然だし…」
「嘘ですね。」
『違う!違うわ!!!』
「…では、この人が人狼でいいですね?」
皆頷いた。もちろん俺も。
「ではさようなら。」
『いやあああああ!』
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最後、人狼がうまく隠れた為、市民チームが人狼チームの半数を下回ったため、ゲームは中断され、人狼チームの勝ちとなった。
残った市民チームは殺されなかったからまあ良かっただろう。
「…ははっ、」
よく騙されたよなあいつら。笑
俺の嘘に気が付かないなんて。
あーあ、楽しかった。
おかげで参加者も減らせたし。
まあ油断はよくない。
このまま気を引き締めていこうじゃないか。
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