第9話 経験値獲得
スライムとは、冒険者が初めて狩る魔物。
物理攻撃も魔法も効かないが、反撃で即死することはない魔物。
だからなんだよ!
こいつ酸みたいの飛ばしてくるし、冒険者見ろよ!
剣も防具も溶かされて苦戦してるよ!
「だらしがない!やはり所詮は落ちこぼれが最後の希望でなる冒険者。良い師に巡り合えなかった事には同情するが」
「宗方さんはそうじゃないと」
「そうだ。見ていろヒロト!スライムとはこう倒すんだ!」
なんだか宗方さんの方向が熱くなってきた。
宗方さんの武器である刀の刀身が赤くなっている。
熱を帯びているから、スライムを蒸発させるとか?
「宗方トシミ、参る!」
「おー」
宗方さんがスライムの前まで行くと、スライムに向かって刀を突きさした。
ブクブクと沸騰させている。
スライムも動きを止めているが、なんというか。
「・・・地味ですね」
「仕方あるまい。スライムの肉は栄養満点だ。このまま核を破壊してもいいがこの方が民に配れて一石二鳥というもの」
・・・食えるんだスライム。
ちょっと食べてみたい。
しかし冒険者達が震えている。
様子がおかしいような?
「あれ、頭のイカれた自警団の神仙組か」
「スライムの肉なんて胃酸だらけで食えたもんじゃねぇよ」
「体内を破壊して治癒魔法で治療することで耐性をつけるって、頭のおかしい奴しかできねぇよ」
前言撤回だ。
なんつーもんを民に食わせようとしてんだこの人。
胃酸だらけの肉なんか食べたらそりゃ内臓がドロドロだろうがよ。
耐性をつけるってこの世界にステータスって概念があるのか?
内臓が破裂しても治療できるような世界だ。
もしかしたら、肉体がそれだけ強固になっていくってことなのかもしれない。
「ふふふっ、民達は苦しんだ上で感謝することだろう。近藤さんの偉大さに!」
「・・・」
ダメだこいつ。
近藤さんへの狂信が織りなしているだけで、耐性がつくとか絶対ない。
冒険者達の言う耐性って痛みの耐性とかじゃないよな!?
「宗方さん-、そういえば近藤さんスライムの肉を嫌いって言っていたようなー」
「なにっ!?ならばこの肉は焼き払うしかあるまい!はぁあああああああ」
そういうとスライムは一瞬で沸騰して蒸発した。
それができるなら最初からやれと言いたい。
冒険者達も軽く拍手してくれている。
スライムがいた場所には小さな石が落ちていた。
あれがスライムの核か。
宗方さんがそれを拾い、俺に渡してくる。
「魔物にはこういう活動するために欠かせない魔核というものがある。これはスライムのような軟体の魔物以外にも人型の魔物ゴブリンやコボルトをはじめ、魔核がなかった魔物は発見されていない」
「これを壊すと魔物は死ぬんですか?」
「ハハハ!ヒロトは面白いことを言うな。まぁ壊せたら死ぬかもしれないな」
壊せたら?
ということは頑丈ってことか?
ちょっと核を叩いてみる。
俺は素手で石を砕けるわけじゃないから、石との違いがわからない。
でも壊せたら死ぬかもしれないってことは、壊せた例がないってことだよな。
「魔物の魔核を壊すとか言ってるぞあいつ」
「神仙組のイカれた女を止めてくれたからまともな奴なんだろうが浮世離れしてるな」
冒険者達よ、もう少しそういうことは小声で言うもんだ。
でもこれを壊すのはほぼ不可能ってことか。
「じゃあこの核の用途ってなんですか?」
「ふっふっふ!魔核はこうやってーーー」
「ふごぉおお」
突如魔核を口の中に放り込まれた。
いや押し込まれたというのが正しい。
俺は勢い余って思わず飲み込んでしまった。
「はぁ、はぁ、急に何するんですか!」
「何って・・・そうかヒロトの居た日本では魔物は居なかったのか。魔法がない世界だ、ありえない話じゃないか。これはレベルアップの為の経験値取得の方法だ」
経験値!
なるほど、世知辛い世界だがやっと異世界っぽくなってきたじゃん!
「それで俺のレベルはこれで上がるんですか!?」
「そうだな、スライムの魔核をあと99個吸収したら1上がるんじゃないか?」
その尻尾をぶんぶん振り回してる姿が憎らしい。
あと99個ってどんだけ長い道のりなんだよ。
やっぱりこの世界世知辛い・・・
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片思い相手に告白したが、フラれたので生きる意味を感じないからと飛び降りた先で 茶坊ピエロ @chabopiero_1919
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