手乗りキメラの飼育始めました

月守夜猫

　梅雨は嫌いだ。雨降ってるしじめじめしてるし蒸し暑いし風邪引くしいいことがない。と大学からの帰り道そんなことを考えていた。俺は大学生になり一人暮らしを始めた。早く梅雨終わんねぇかなと思いながら歩いていると俺の住むアパートが見えてきた。俺は二階に住んでいるので傘を閉じ階段を上がる。上がりきり玄関に向かおうとすると俺の部屋の前に段ボールが置かれていた。なんだろうと思い近づいてみる。今流行りの置き配と言うやつだろうかとも思ったがそもそも俺は何も頼んでいない。であれば隣人の荷物かなと思い段ボールを見てみると開いている。しかし、中身が見えるほどガッツリ開いているわけではない。なんなんだこれと思い、傘を持ち替え持ち手の濡れていない部分で段ボールを小突いてみた。ゴソっと段ボールを叩いたときになる音がした。音からは中に何が入っているのかわからなかったので、どうするかと考えていると、

「にゃぁ～」

と子猫のような小さな鳴き声が聞こえる。

　まじかよ。ふざけんな。他人の部屋の前に子猫捨てるとかどんな神経してんだよ。と思い段ボールを開け中を確認するとそこには子猫サイズの小さなキメラがそこには居た。

「どういうこと？」

　状況が全く理解できなかったのだが、これが俺、木島優と手乗りキメラ、ステーキとの出会いだった。