未亡人

 未亡人の輿入れが決まった。

彼女を未亡人にしたのは、私に責任のあることだった。蜜月の思い出と時間を無駄にさせた罪悪感が波紋を作る。

 美しい後ろ姿は、年を経ても楚々としている。

「きれいだよ」

 風になびく裾に、可愛らしい金魚が泳ぐ。


 着物用ハンガーから彼女を抜き取ると、金魚は深く潜るように泳いだ。

 最後のたたみ作業を終えるとたとうに包み、次の持ち主となる人の住所を書き、一筆箋を添える。

「どうぞ着てやって下さい」

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