俺が偶然助けたのは、隣の高校の氷姫でした
Lemonade I scream
第1話
彼は、突然わたしの前に現れた。
学校帰りのわたしが刃物を持った通り魔に襲われそうになっているところに、彼は自分の身も顧みず飛び込んできた。
一瞬で通り魔を倒してしまった彼は、座り込んでしまったわたしに手を差し伸べて言った。
「大丈夫?怪我はない?」
わたしを庇ったときに怪我をしたのか額から血を流しながら、わたしの心配をしてくれた。
呆然としているわたしを立たせると後ろを振り返り、なんとか起きあがろうとしていた通り魔に向かって走っていって、すごい勢いで蹴っ飛ばしていた。
その後のことは、よく覚えていない。
気がついたら、麻衣と風香に抱きつかれていた。
彼は誰だったんだろう。
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いつも通り授業を終えたわたしは友達の
わたしの通う清心学園から駅までは約1.3キロ。
徒歩で大体20分程度の道のり。
一応駅までバスも出ているけれど、あまり使わない。
麻衣と風香とおしゃべりしながら帰るのが楽しいから。
この三人で一緒にいると男の人からナンパされることが多いから、それは本当にウンザリする。
その日も学園を出て少ししか歩いていないのに、学ラン姿の不良っぽい四人組に絡まれた。
あまりこの辺りでは見掛けない制服だ。
ウチの学園は可愛い子が多い女子校として有名なので、たまにこういう
元は制服が可愛くて女の子に人気の学校という話が、いつからか可愛い女の子がたくさんいるという噂に変わったらしい。
「お、可愛い〜!」
「やべえ、マジ美人いるじゃん」
「学校終わって暇っしょ?俺たちと一緒に遊ばない?つうか遊ぶっしょ」
「メシ?カラオケ?それともホテル直行でもいいぜ!」
「お前の粗◯ンじゃな〜。オレとかどう?満足させるよ〜」
何がおかしいのかゲラゲラ笑っている。
あまりの下品さに男性が少し苦手な風香が怯えている。
わたしは、麻衣と風香の前に出た。
「あなたたち、どこから来たのか知らないけど帰りなさい」
彼らはわたしを見て、また笑った。
「おおー!一番の美人さんが一番気が強いんだねぇ」
「マジ?オレそーゆーのメッチャタイプ!」
「いいじゃん、そんな冷たくしないでぇ」
「バッカだな。こういうタイプが一番エロいんだって」
「おれ、お相手して欲しー」
「忠告したわよ」
「んん〜?ご忠告ありがとうございます〜」
「この先のお話はこんなとこじゃなくて、みんなで楽しめる所で聞くから一緒に行こうぜ〜」
一人がわたしに手を伸ばしてきた。
が、その手は横から伸びてきた別の大きな手によって掴まれた。
「君たち、ウチの学園の生徒に何をしているんだね」
紺の制服に身を包んだ屈強な男性がそこにいた。
一人だけでなく、いつの間にか現れた同じ制服でがっしりとした体格の男性たちが不良グループを取り囲んでいる。
彼らは清心学園のガードマンだ。
いつも学校周辺を巡回しているし、生徒がセキュリティブザーを鳴らせばすぐに駆けつけてくれる。
「オェ!?い、いやぁ、ちょっと道聞こうとしただけで…」
焦った不良が言い逃れしようとしたが、すぐに捕まった。
「先ほどからの君たちの言葉は全て録音させてもらった。また防犯カメラに君たちが強引なナンパをしようとしている姿が撮影されている。君たちの学校には詳しく報告させてもらおう。一緒に来たまえ」
不良たちは何事か騒いでいたが、ガードマンに連行されていった。
わたしたちは「気をつけて帰りなさい」というガードマンにお礼を言ってその場を離れた。
「
「サキ、大丈夫?でも、ありがと」
風香と麻衣がお礼を言ってくれた。
正直に言えば、わたしは男性が苦手だ。
家族と親類、あとはごく数人の信頼できる男性以外は嫌悪感さえ覚える。
「…ええ。大丈夫」
麻衣がわたしの目を見つめている。
あまり、心配をかけたくなかったのだけれど。
「…ねえ、気分転換にちょっとH&Mでも見ていかない?」
「えぇ〜先週も行ったばっかりじゃん。だったら何か食べに行きたい〜」
麻衣の言葉に風香が反対している。
確かにH&Mは先週行ったばかりだ。
ちょっと考えて声をかけた。
「そうね。じゃあZARAに行ってみる?その後、ちょっとお茶しましょう。風香は体育のバスケで走り過ぎたって言ってたし」
「さすが
「…あんた、また太るわよ」
風香がちょっとムッとしている。
「大丈夫だって!この間TikTokで太らないメニューもあるって言ってたもん!」
「そんなこと言って、この間もクランチアーモンドチョコフラペチーノとか頼んでたじゃない」
「ムースフォームラテを注文した!…筈なんだけど、て、店員さんが間違えちゃったのかな〜」
「あっきれた〜。サキ、聞いた?フウカじゃなくてブウカになるって言ってやってよ」
「ひどっ!サキちゃんはそんなこと言わないよね?」
「ふふっ」
麻衣と風香の会話を聞いていたら少しずつ元気が出てきた。
さあ、帰ろう!
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