勝利だギューちゃん

第1話

「残念だけど、死んでもらうことになったよ」


覚悟はしていた。

かなり前から、病院で生活をしている。

自分でもわかっていた。


だが、こうやって現実を突きつけられるのはさすがに辛い。


「で、君の魂をあの世へと誘う案内人なんだけど」

「あなたじゃないんですね」

「僕は、伝達係だから・・・」


目の前の人物、死神か天使か?

彼らにも階級はあるようだ。


「最後くらいは、好みのタイプの子に誘ってほしいよね」

「もちろん」

「その好みのタイプを教えて。こっちに来させるから」

「それはいつ?」

「条件に合う子がいれば、今すぐ。」

「いなければ?」


何も言わない。

待ってもらうという事か・・・


「いいですか?リクエスト」

「OK。何でもいいよ」


僕はそのタイプを告げた。


「20歳くらいで、160センチ前後で50キロ前後。

CカップからDカップ

ウエスト58:ヒップ86〈ただし多少の前後はあり〉


優しくて明るくて前向き。

とても元気で積極的。


眼鏡属性はないので、かけていない子。


料理上手できれい好き。


ミニスカートが似合って、清純で・・・」


「こら、ちょっと待て」

「何を?」

「そんな子、いない」

「何でもいいって言ったろう?」

「もっと妥協しろ」

「結婚相手なら、こんな贅沢は言わないし、妥協もする。

でも、最後の案内人くらいは、贅沢を言わせてくれ」

「確認してみる」


スマホをいじってる。

霊会なのか天界かは知らんが、文明もあるんだな」


「あっ、いたよ。その条件に合う子」

「本当?」

「ただ、後100年待ってくれ」

「このままで?」

「面倒くさいから、元気にしてやる」


こうして僕は、元気になり退院した。

まだまだ抗ってやる。


まっ、初恋の人に似ていたら、それだけでいいんだけどね。

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勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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