第2話 むかしむかし





むかしむかし、まだお月さまが一つだったころ。


「神様の国:スカーヴァディー」はまだ空の果て、ずーっとずーっと高いところにありました。神様たちはそこでくらしながら、いろいろな人たちのお願いごとを聞いたり悪いことをしている人に罰を与えたりしていました。


人々はそんな神様に、お供え物をしたり感謝の言葉をささげることで毎日の生活を守ってもらっていました。


しかしある日のこと、「スカーヴァディー」に「黒いしみ」が現れたのです。「黒いしみ」は、まるでセミが死ぬ間際泣くような音を出しながら、少しずつ 少しずつ大きくなっていって、やがて「スカーヴァディー」全体を飲み干そうとするくらい、大きなものになっていきました。


神様たちもだまって飲み込まれるのを待っているわけではありませんでした。


ある神様は武器をもって立ち向かい


ある神様は稲妻や炎をたたきつけて追い払おうとしました。


またある神様は、知恵の力をもって「黒いしみ」の正体を探ろうとがんばりました。


けれども、神様がどれだけがんばっても「黒いしみ」はどんどん大きくなっていくのです。


ついには大きな大きな人のような形になり、「スカーヴァディー」を握りつぶそうと大きな手を広げてき

たのです。困った神様たちは、みんなでちからを合わせて「スカーヴァディー」ごと「黒いしみ」を固めてしまうことにしました。


神様たちは残った力を振り絞り、力を合わせて「黒いしみ」に対抗します!


すると・・・。


どうにか、「黒いしみ」の動きを止めることに成功しました!

でも、残念ながら神様たちは力を使い果たし、次々にお空から落ちていきました。


神様だった流れ星は細かく砕けながら、人の世界「サハー」に降り注ぎます。


砕けた欠片『方体キューブ』はやがて「精霊」となり、人々とともに生きるようになったのです。


また、砕け切らずに「サハー」に落ちてきた球体は「宝珠オーブ」として、国の守り神として祀られるようになりました。


空に「黒い月」と「白い月」が現れるようになったのも、その時からです。「黒い月」は、「白い月」のまわりを、まるで獲物を追い詰めるように、ぐるぐる、ぐるぐるまわっています。


もしかしたら・・・・「黒い月」は「黒いしみ」、「白い月」は「スカーヴァディー」かもしれませんね。




良い子にしていないと・・・ホラ、「黒いしみ」が・・・後ろに来て・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・




「たべにきちゃうぞおおおおおぉおおおお!!?」

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