第63話 双鞭将軍
韓信領に隣接する、隣国「宋」。
その一番近くにある荊州城に、亜父の書簡を持った使者が到着する。
書簡を読み終えた司令官は、部下を集める。
「皆の者、レッドキャップからイワイを挟撃し討つ好機との書簡が届いた」
司令官の言葉に、副将二人が考えを述べる。
「我らは今、付近の反乱鎮圧がままならい状況」
「挟撃軍を出すのは厳しいかと思われます」
二人の意見に頷く司令官。
「二人の意見はもっともである」
「しかし、目の上の瘤であるイワイを挟撃できるのもまた好機」
この言葉に2人はすぐに反応した
「ならば、我ら二人で2000の兵を連れ、挟撃軍の指揮を執ります」
「書簡によれば、イワイは完全にレッドキャップに兵力のほとんどを向けている様子」
「ここで一気にイワイの居街・淮陰を攻め落としましょう!」
ふたりの副官の答えに、司令官は指示を出す。
「百勝将!」
「天目将!」
「二人にイワイ軍討伐を命ずる!」
「兵3000を連れて、ただちにイワイ領へ攻め入れ!」
「ハッ!急いで準備に取り掛かります!」
「コエンシャク将軍はここで吉報をお待ちください!」
ふたりは拱手し、すぐさま軍の編成準備に取り掛かった。
一人になった執務室で、コエンシャクは呟く。
「俺はなぜこの腐りきった国の為に命を懸けているのだ?」
「俺はなぜ『四姦臣』に従っているのだ?」
「だめだ…何も思い出せぬ」
コエンシャクの自問自答は続く。
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