第62話 咸陽への道

「うわ~派手にやったね~」


ツキノは橋に出来た血溜まりを踏まないように歩き、ボウイに近づく。


「で、この伸びているのが敵の司令官だったの?」


熊武将は白目をむいてピクピクしている。


「おうツキノ!」

「そいつレッドキャップの部下だから、回復魔法で治しておいてくれ!」


満面の笑みで答える兄に、ツキノは肩をすくめる。


「もう…こいつがリーダーとわかっていたんなら、少しは手加減しなさいよね!」


「すまん、すまん!そいつが強かったので、つい本気で殴ってしまった!」


謝るボウイにヤレヤレな顔をしながら、熊武将にヒールをかける。


「こりゃここじゃだめだね、内臓いくつか破裂しているわ」

「とりま、止血と回復だけしといたからイネさんとこ送りね」


そう言って、救護班のゴブリナさんたちが運んで行った。


前線の後処理が終わると、官兵衛が砦に皆を集めて次の説明を始める。


「現在、我々は中央砦制圧より、咸陽への3つのルートを確保しました」


「一つ目は北回りルート」


「こちらは途中、北の砦と咸陽の分かれ道があり」

「状況によっては双方からの挟撃を受けてしまう恐れがあります」

「此方のルートからは、ボウイ様・黒田八虎」

「清正公三傑・長政・武兵衛・私で参ります」


「二つ目は南回りルート」

「こちらは途中咸陽と南砦の分かれ道となり」

「こちらは更に、咸陽から南への援軍が向かっている最中だと思われます」

「尚、南砦は現在、陳平の仲間である」

「アナグマの反乱軍頭領と、清正殿が攻略中です」


その時、伝令より報告が入る。


「報告、南の砦は清正公と反乱軍頭領で制圧完了」

「敵司令官も捕らえているとの事です」

「南の砦に向かっていた4000の援軍も、途中で咸陽に引き返しているようです」


官兵衛はご苦労と言い、兵を下がらせる。


「では、南の砦はツキノ様・姜維殿・百地衆、章邯で向かってくだされ」


「は~い、わかったよ~」


ツキノは元気に返事をする。


「南回りの咸陽へは、後程合流するピット王と孔明殿・林冲殿・樊瑞殿でお願い致す」


「そして、中央ルート」

「ここは道もないうえに咸陽の裏は断崖絶壁となっておる」

「とても作戦に組み込めるルートではないのだが」

「義経殿たちに作戦があるので、このルートを使うとの事」

「よって、このルートは義経殿達に任せる」


「官兵衛殿、少々お待ちを」


樊瑞がこの編成に待ったをかけた。


「実は私、雲に乗って移動することが出来まして」

「私であれば、義経殿についていけます」


「わぁお!孫悟空じゃん!」

「確かに孫悟空ですな!」


ツキノと又兵衛は同じ名前を挙げているが、きっと別の人物だろう。


「それと、レオナルド殿より預かったこの兵器のシサクを兼ねたいのです」


「わかりました」

「では樊瑞殿は義経殿と同行してくだされ」


「承知した!」


「章平殿(章邯の弟)は、このまま中央の砦の守備をお願い致す」


「ハッ!」


これにて各ルートへの進撃編成は終了し、そのまま咸陽攻略へと進んでいく。

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