第52話 国士無双の復活
「イワイ様も進化を受け入れられてはいかがでしょうか?」
蒯通はイワイに進言する。
「進化?」
イワイが話すと、蒯通は人の姿になる。
ピットたちも一緒に人の姿に変化する。
「なんと!人の姿にもなれるのですか?」
驚くイワイたちに孔明が説明する。
「我が王に対し、心を許せば進化を行うことができます」
「進化を行うと、前世の記憶が開放されます」
その言葉を聞き、イワイは机を見ながら苦笑いする。
「進化の条件が王に心を許すとは…」
「これは…私の弱い心に与えた試練なのかもしれませんね」
そう話すと、ピットへ向き直る。
「ピット殿、よろしく頼む」
その言葉と同時に、4頭のイタチが進化を始める。
光が収まると、立派な鎧の大男が1人、3人の文官が現れた。
「ピット王、すべて思い出しました」
「私の名前は韓信」
「かつて漢の国で元帥を務めておりました」
続いて文官3名が自己紹介をする。
「私の名前は張良・子房です」
「留侯と呼ばれ、漢の国で丞相を務めておりました」
「私の名前は蕭何と申します」
「漢の国で相国を務めておりました」
「私の名前は李左車と申します」
「かつて、敗れた敵の将であった私を、韓信様に軍師として登用していただきました」
孔明が補足する。
「韓信様は古今東西の兵法に通じており」
「彼の用兵術は素晴らしく、周りからは『国士無双』と讃えられておりました」
「張良殿は兵法家であり、漢王の参謀として多くの戦いに従事しました」
「また、漢王が間違った行いをすれば真っ先に正し」
「外交面でも多くの味方を付け、敵を倒すなど、数多くの貢献を上げております」
「蕭何殿は漢王の最古参の人物で」
「内政面で国を支えた最功労者であると、漢王に評されたほどの人物です」
「李左車殿は元趙の軍師で、韓信が軍を率いて攻めてきた際」
「丞相に献策を用いますが採用されず、結果趙は滅亡」
「しかし韓信はその策のすばらしさを見抜き、李左車を軍師に迎えたのです」
孔明が説明を終えると、韓信は寂しそうに自身の前世を話し出す。
「恩賞として王を拝命し、国を統治しておりましたが」
「猜疑心の虜となった漢王に恐れられ、命を失いました」
「あの時、蒯通先生の天下三分の計を聞いておけばと、ずっと後悔をしておりました」
蒯通も話す。
「韓信様は、自身を取り立ててくれた漢王を裏切る事は出来ないと、私の策を断りました」
「結果として、韓信様は全てを奪われてしまいました」
「漢王は、その後も多くの功労者たちも次々と手に掛けていきました」
「昔の漢王は、人の意見をよく聞く、良き王だったのですが」
「中華を統一後、自身のことを思うばかりに」
「猜疑心の塊へと変えてしまったのです」
蒯通は悲しい顔をのぞかせながら話し終えた。
「ピット様!」
蒯通は改めてピットに願い出る。
「前世で韓信様を助けられなかった事を、悔やまぬ日はありませんでした」
「もし許されるならば、私を韓信様のもとに行くことをお許しください」
蒯通は深々と頭を下げる。
「私が許す事はわかっていたでしょう?」
「現世では後悔しないよう韓信殿を助けてあげてください」
ピットの言葉に蒯通は礼を述べ、韓信の後ろへと移動した。
ちなみのこの後、蕭何が
「実は私が韓信様を殺しました」
とんでも暴露してと謝っていたが
「私があなたと同じ立場であったら、同じ事をしました」
「どうかこれからも私を支えてください」
と、韓信がすべてを許す形で丸く収まった。
紹介は終了し、これよりレッドキャップ討伐の会議が始まる。
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