第46話 イワイの前世
「イワイは生前、ある王に仕え多くの武功を上げました」
「その強さたるや凄まじいもので、周りは彼のことを『国士無双』と称します」
「遂に彼はすべての敵を倒し、王の国家統一は実現しました」
「その後王は、イワイの強さに恐怖し、彼からすべてを奪ってしまいます」
「一国一城の主を夢見ていた彼は全てを失い、王に謀反を起こします」
「しかし事前に悟られ、逆に殺されてしまったのです」
孔明が簡単に説明し終えると、官兵衛がため息をつく。
「イワイ殿の前世は、何処か他人事とは思えませんな」
孔明は続ける。
「このような前世のためか、イワイはどうしても人が信用できないのです」
「今回も彼と話をしたくても、会う事すらできずに戻ってきた次第…」
そう言い終えると孔明はピットに謝罪する。
「私の策が至らず、申し訳ありません」
「彼を味方に付けるのは少々難しくなりました」
「現在新たな策を練っておりますので、いましばらくお時間を頂きます」
そう話し終えたときに、門兵がノックして報告する。
「門前に男が来ておりまして…問題を解決しに参ったと申しております」
3人は顔を合わせて、門番に部屋へ通すよう伝える。
入口が開くと、門番と長い顎ひげを蓄えた男が入ってきた。
その顔を見て、ピットは驚く。
「あなたは、庵で捕らわれていた狐殿?」
ピットの質問に男は答える。
「ピット王、二人の軍師殿、その節はご無礼を働き失礼致しました。」
「そして、あの時私を信じて解き放っていただいたこと感謝しております」
「私の名前は蒯通(かいとう)と申します」
「おそらくイワイは、前世のことが心から離れずに、前に踏み出せずにおります」
しかし、と蒯通は続ける。
「私は開放していただいた後、貴方の様子を見ておりました」
「あなたが皆を思う心。皆があなたを思う心…」
「ピット王は彼の前世の王とは違い、きっと望みを叶えてくれると」
「イワイの閉ざされた心を開いてくれると確信しました」
話し終えた蒯通は、再びピットに願い出る。
「私と共に参れば、イワイに会うことができます」
「どうか道案内として私をお供にお加え下さい」
蒯通の言葉に孔明は頷く。
「ピット王、これは私たちにイワイと共にレッドキャップを倒せという天の言葉です」
「早速イワイとの会談のため出立いたしましょう」
「わかった孔明」
「蒯通殿、お願いします」
ピットの言葉で会議は終了し、4人は急いで出立準備に取り掛かる。
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