第36話 シフの献策

祭りの後、シフさんがピットのもとにやってくる。


「我が王、宜しければ、森の南にあります『人間種と亜人種の国』と取引の許可をお願いします」


へぇ、やっぱりこの世界にも人間ているんだ。

やっぱり魔物と戦ったりしてあちこちで幅利かせているのかな?


「人間?超弱わっちーよ!」


エルリンは寝そべりながらエルフのお供え物を食べている。


えーっ、騎士団とか冒険者とか大魔法使いとか神官とか王族の血統とか強そうな設定のいるじゃん?


「設定?まぁどんな奴でも人間は人間、寿命も短いし魔物には勝てないからね」


うわぁ、なんか夢も希望もないこと言ってるなー。

まぁ、現実そうなのだろうけど…


「でもさ、君とピット君が進化させた人間たち、あれは異常な強さと能力だよね?」

「もしかしたら、彼らがこの世界の「次の人間種」になるのかもね?」


あのエルリンさん、この世界の人間を消えゆく人たちみたいに言わないでください。

おっと、シフさんの話の途中だった。


「我らのコミュニティーは強大で、この大陸中に広がっております」


「この力を使って「貿易」を行い、国家の財政を賄いましょう」


シフの話に官兵衛は大きく頷く。


「シフ殿、是非ともお願いします」

「ここまで孔明殿が集めていた軍事物資も、戦争が始まれば無くなってしまいます」

「ここはシフ殿のお力に頼らせて頂きます」


官兵衛のお願いにシフも答える。


「承知しました」

「王に助けて頂いた恩をやっと返せるチャンスが巡ってまいりました」

「微力非才な身ではございますが、必ず結果をお出しいたします」


そう告げて、シフは次の日、亜人連合国へと向かった。

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