変態とは

〜これまでのあらすじ〜


公募に応募しては落選続き、何十万字書いても評価されないと嘆いていた「僕」は、酔った勢いで下ネタを投稿する。

思いの他ウケたことに驚いた「僕」。

自分の理想とする作風を貫きたい気持ちと、周りからの反応欲しさに低俗作品を書くかという葛藤が生じた。


♢♢♢


僕は慄いた。

このような低俗作品にレビューを書ける神経の持ち主がいるだなんて。

僕にはできない。

仮に、腹の底から笑ったとしても、まず何て書いたらいいかわからない。

元が低俗なんだぞ。

せいぜい生み出される言葉なんて、”面白かったです”くらいしかない。

それに、そこにレビューしたら、連座制的に見られる。

あれだけ笑っておきながら、そういう人間だと思われるのは恥ずかしいのだ。

だから、このレビュー者には強く興味を持ち、名前をタップした。


作品を読んで、感じた。

僕は、まだまだだったと。

あの程度を”振り切った自分”と思っていた自分が恥ずかしい。

変態という言葉を軽々しく使っていた。

もちろん、ただ小っ恥ずかしい言葉を並べれば良いのではない。

もっとバカバカしく、もっとくだらなく、だが、あくまで作品として美しく……書くのだ。



それにしても、小っ恥ずかしい言葉の羅列で思い出したのだが、ヤッてるシーンの喘ぎ声に♡が使われることをみんなどう思っているのだろうか?


「ダ、ダメッ、そんな、いきなり……! あんっ」


よりは、


「ダ、ダメッ、そんな、いきなり……! あんっ♡」


の方が、明るく、いかにも気持ち良さそうだ。


さらに数を増やせば、


「ダ、ダメッ、そんな、いきなり……! あんっ♡♡♡」


のように、余韻を持たせて、まるで次を期待しているかのように感じさせる。


だが、これも、僕の作風的には許せない。


僕の作風は基本、「思ってたより気持ちよくて困っちゃう」がベースであり、そこがエロスなのだ。


これでヤり始めた冒頭から積極的に快楽を求めてしまうなら、それは逆に健全な精神、営みにすぎない。

そんなリア充は要らない。


初めての不安を乗り越える時、清楚が汚れる時、イケナイ関係が生まれる時、そんな”堕落"がエロスだ。


もちろん、スイッチが入ってからはヤられる側が積極的でもいいが、そこから♡を使うのははばかられる。


いや、それでいいのだ。

安易に絵文字に頼る精神はいけない。

もっと、内心や肉体の描写力を磨けば良いのだ。


R15のカクヨムで、僕の描写力を披露できないのは残念だ。

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