1544年秋 次なる策
陶隆房との交渉は決裂し、彼が私の排除に動き出したのと同時に私もまた彼やそれに同調する者を吊るし上げる準備を始めた。
その一環としてとある物を私はアトリエで作っていた。
「今度は何を作っているのですか義植様」
「龍円か、見てくれよ。人体錬成したんだが器が無くてな」
そこには美しい女体が手足が変な方向に折れ曲がっていたが、鎮座されており、瞳には光が無く、一目で生きているようには思えなかった。
「手足の調整を誤ってしまいこれは失敗したが、ある程度直して肉人形共に与えようかと思ってな」
「相変わらず業の深い事をしていますなぁ。普段は仁君なのに、どうしてたまに外道な事をなさるので?」
「人々が笑顔になってくれるのは嬉しいのだけど、業の深いことは私の性癖だ。こればっかりは治らんよ」
「そもそも人を産み出すというのは神々の力ではないので?」
「前にも言ったが、私は仏神より神通力を授かっているからな。これくらいのことはできるのだよ」
「で? この肉人形は何に使うのですか?」
「あー、拷問用だ」
「拷問? これが?」
「蜜蜂を龍円は知っているよな」
「ええ、まぁ」
「女王蜂は卵を産むために男共の中に飛び込み、交わり、雄が死ぬまで精液を搾り、体内に精液を蓄え、それを使い一生子供を産み続ける···」
「まさか男を絞り尽くす拷問を!?」
「その程度は普通であろう。私は特殊性癖が病なのだぞ。もっと業の深い事を考えている」
「え、えぇ···」
「龍円もどうだ? 自慰の代わりに使うか?」
「いや、そんな事を聞いたら使いたくありませんが」
「そうか···小姓達で実験してみるか」
「頼みますから小姓達が精根尽き果てて亡くなるなんてことは起こさせないでくださいよ」
「わかってるよ」
ということで人体錬成をして色々なタイプの女を創り出し、小姓達にプレゼントした。
「義植様が頑張っている我々に贈り物を渡すと言われたがなんだろうか?」
「伊藤(宇治)や香川(左貫)の様な武具であれば嬉しいのだが」
「あれは凄まじいな。斬っても斬っても斬れ味が落ちない。しかも義植様自らがお打ち(作った)になったと聞く」
と話していると義植様が現れた。
我々は頭を下げる。
「頭を上げろ。今日は頑張っている皆に褒美をやろうと思ってな」
そう言われて皆歓喜する。
「入って参れ」
そう義植様が言うと目に光が灯ってない美しい女達が入ってきた。
「皆年頃であろう。性欲も溜まり辛いと思ってな。こ奴らは流れてきた者で言葉を話すことも生きる気力も持っておらぬ。故に皆で使うが良い」
そう言われてピンと来なかったが、女達が服をいきなり脱ぎだし、目の前で土下座をされたので困惑が広がる。
義植様は後は龍円に任せると言って部屋を出られ、龍円殿が補足をする。
「皆色事と言えば男色(男性同士の同性愛)が性欲の解消に流行りだしているのは義植様は把握しているのだが、男色をすると菊の門で行為を行うと病になることがあるらしくてな。男色の代わりに性欲を発散できるようにと使い捨てしても良い女を用意したらしい。この者達は身分が卑しい為に使い終われば兵達に施す予定だ」
つまるところ遊女らしい。
義植様は僧時代から人々から尊敬される仁に溢れるおかたであり、小姓である我々を家族のように扱ってくださる。
特に毎日我々に一品料理を振る舞ってくださり、そういう下を労う心をよくわかっているお方なので、今回も我々の事を考えてのことだと直ぐにわかった。
主君より下賜されたのだからそれを賜らないのは失礼。
私達はそれぞれ気に入った娘を部屋に連れ込み、時には複数人で輪し、穴兄弟となり絆を深めるのであった。
これで色々と喋れたりしたら愛着が湧くのであるが、くすんだ瞳で言われた事しかしないため、愛着も皆沸かずに、性欲のはけ口としてしか扱うことはしなかった。
「ふふーん、新鮮な精液が大量、大量〜」
私はアトリエにて人造人間達が採取した精液を掻き出して、更に改造を施し、人造人間達を孕ませていった。
小姓達には適当に交換して、兵に下賜したといえば文句は言われてもそれ以上は出ない。
私からしたら高性能ダッチワイフで自慰をしているのにしか見えないが···。
というか人格輩出をすると副作用で性欲を失ってしまうらしく、男性は射精することができなくなっていた。
なので人格を輩出した兵達は次世代を残すことができない。
女性の場合は生理サイクルが性欲関係なしに起こるので生殖能力は残っていることは確認できた。
まぁそんなダッチワイフ達に強化した精子を再注入することと、女王蜂をモデルにしているので、蓄えられた精液で毎年子供を孕むことに理論上なる。
まぁ人造人間なので寿命も短いが、それでも二十年と少しで二十人ほど強化人間が産まれる計算になる。
強化人間は容姿に優れているのは勿論、頭脳や筋力に優れ、内臓系も強化され、ある程度の毒への耐性が存在する。
身長も男は大きくなりやすくなっている。
女性は胸と尻が大きくなりやすくなっていたが···
まぁ私の性癖ゆえ仕方がないと思ってほしい。
ちなみにこれは拷問器具ではなくあくまでダッチワイフだ。
もっと凄まじいのが存在しているが陶との決着が付いたら投入しようと思っている。
というか陶の拷問用に作ったと言っても過言ではない。
「楽しみだなぁ〜これを使うの!」
私はほくそ笑むのであった。
夏に大雨が各地で起こり、稲が腐ったり、川が氾濫して田畑が泥水で浸かってしまい駄目になったりしたが、大内領内や安芸の国では私が渡した強化種籾や芋類のお陰で他国に比べると大豊作と言えるくらいよく米が穫れた。
しかし悲惨なのは畿内であり、大型台風直撃により大洪水多発、細川政権が戦国の大魔王こと細川晴元最盛期であり、各地で反乱多発かつ、暗殺祭りのため治安が崩壊しており、村人が生きるために山賊化、野盗化が頻発。
京でもこの影響で貴族が押し入り強盗の末に殺されるという世も末の事件も起こっており、畿内は混沌としていた。
少し東に視点を移すと美濃付近では朝倉と織田の連合軍が美濃侵攻をするが斎藤道三の力により撃退され、更に東では河東の乱で今川と北条が親族関係でありながらバチバチにやりあっており、武田家は甲斐から北進し、諸勢力を自慢の軍事力で滅亡させ、奥州では天文の乱という戦国史最大の親子喧嘩が発生しており、世はまさに大戦国時代と言えるくらい争いが絶えなかった。
京より西の尼子は東進に忙しく、石見銀山の資金力を背景に所領を急速に拡大していた。
四国でも小勢力が内紛を繰り返している。
が、大内関係所領(中国地方西部及び北九州)では争いが沈静化しており、今回の大雨でも被害を最小限···いや、堺へ食料を輸出したことで多いに儲けることに成功していた。
そんな各地で争いばかりかつ洪水などで大変なことになっている状態で大内家···義植は減税に踏み切り、内部勢力の見極めを敢行。
従った家臣と従わなかった家臣、そして不正して税を二重取りした家臣と様々であり、それを私は各村長や寺のネットワークを駆使して把握して粛清するかしないかを見極めていた。
まぁこの各地が混乱している状態で税を下げたという噂が困窮する畿内に伝わり、畿内から命がけで大内勢力内に移住する流民が発生。
この流民の一部は僻地村で試した水場が無くても椎茸や果樹、そして茶葉や生糸の生産を行わせた。
換金作物を育てさせることで十分に食っていけるようにし、私も新たに開墾した村を巡り、そこで水が湧き出る宝玉を投げ入れ、奇跡を起こすことで支持を獲得していった。
また一部は銭で兵を雇い、常備兵としていった。
武断派から切り崩した中立派に常備兵の育成方法を教え、武断派に頼らない私が動かせる兵を増やしていった。
また薩摩との貿易をいよいよ開始して薩摩から大量の火山灰を輸入し、こちらからは銭や食料を輸出した。
で、残りの流民は石灰石を掘らせて、大量の石灰と火山灰を用意するのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます