夜明け

下東 良雄

STAR NIGHT

「一生沙織さおりを大切にする。だから僕と結婚してくれ!」


 星が瞬く冬の夜空の下、美しい夜景が見える公園で、私は瑛二えいじからプロポーズされた。彼の真剣な視線が私の目を貫く。

 お付き合いを始めて三年。真面目なだけが取り柄で、これといった特徴のない地味な私との結婚はないかなと思っていた。だから、私から結婚を匂わせるようなことはしなかった。もうすぐ節目の三十歳だけど、最後はフラレて終わるのだろうと、自虐的に考えていた。


「いつでも優しい微笑みを浮かべてくれる沙織が好きなんだ。ずっと僕の隣にいてほしい」


 瑛二の顔が喜びの涙でぼやけていく。そんな私を優しく抱き締めてくれた瑛二。


「嬉しい……」


 私のつぶやき。そして、私と瑛二さんの影が重なる。

 冬の寒さを忘れるほど、熱い熱い口づけ。

 私の人生にも輝ける朝が訪れる。

 胸から溢れ出る幸せに、私はただ喜びの涙を流し続けた。



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