快刀乱麻! 東雲舞、赤い羽消失の謎を解く

雨宮 徹@クロユリの花束を君に💐

快刀乱麻! 東雲舞、赤い羽消失の謎を解く

 今年もこの季節がやってきた。赤い羽根募金の時期が。とんでもないことに、「最低100円は募金すること」とお達しがあった。



 今時、強制徴収はどうなんだろうか。何かの法律に引っかからないのか? まことは疑問に思った。100円あれば安い自販機なら1本ジュースが買える。



「みなさん、明日から赤い羽募金が始まります。福祉のために協力しましょうね」



 先生も疑問には思わないのだろうか。それとも、上からの圧力があるのか。





東雲しののめはどう思う? 強制徴収について」



 真はクラス一のミステリーオタクである東雲に聞く。



「あまり良くないわね。でも、募金しなかったら、先生や他のクラスメイトから白い目で見られるでしょう。同調圧力は怖いものよ」



 確かに、その通りだ。自分だけ募金しないと罪悪感が湧いてくる。



「100円を払って仲間と認められるか、払わずに仲間外れにされるか。大半の人が前者を選ぶでしょうね」





 募金週間1日目。真は大人しく100円を募金した。引き換えに赤い羽を受け取る。赤い羽は募金したことを周りに知らせる意味もある。



「真くん、知ってる? 赤い羽根は昔から『勇気』や『良いこと』のしるしだったんだよ」



 収集者の佐々木が言う。真は1つ賢くなった気がした。知ったところで、ためになるかは別だが。





 そんな風に募金活動が始まってから数日経ってからだった。赤い羽根が盗まれるという事件が起きたのは。





「なあ、東雲。今回の事件、盗まれたのは赤い羽根だけらしいぞ。なんでか分からないが、募金は手つかずだったんだ。お前ならどう推理する?」



「そうね。それだけだと推理の材料が足りないわね。でも、推測ならできるわ」



「へえー、さすがクラス一のミステリーオタクだ。で、どんな推測だ?」



「本当に、募金は手付かずだったのかしら。誰か数えていたの?」



「募金期間が終わるまで、誰も集計しないさ」



「そこがポイントよ。赤い羽を盗んだのは。赤い羽だけ無くなったら、みんなそちらに目がいくでしょ。つまり、犯人は募金から多少でもお金をくすねたに違いないわ。ミステリー小説のトリックを応用したのね。でも、いずれ足がつくわ。赤い羽を処分するときにね」

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